『鳥の手紙』は白石喜久子(1948 - )の第2句集。栞文:武藤紀子。
著者は「晨」「円座」同人。
六月の水の中より竹二本
松の根に子供が坐る祭かな
父逝く 二句 から
大いなる野分に父を送りけり
月細く細くなりけり穴惑
いつの間に沖のつめたき浮輪かな
青年の棲む家昏し桐の花
秋燕のまた現るる大斜面
屋根神のやうに猫ゐる霜日和
養老の蛇たをやかに泳ぎ去る
祝 武藤史子さんご結婚
出雲まで続いてゐたる花の雲
金網を鳥の抜けゆく麦の秋
魚のごと格子戸過ぎる秋の翳
母逝く 三句 から
桐咲いて白々と照る空の中
叔父
白梅や戦下の卒業証書出づ
夫は
無花果の熟れて砂漠へ発ちにけり
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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