『天青』は東蕾(1952 - )の第1句集。序文:鍵和田秞子、跋文:正木ゆう子。
作者は「未来図」同人。正木ゆう子と高校、大学で同窓。
十薬を繁らせ己が匂ひとす
わが欠片集むるごとく栗拾ふ
柊挿しさなぎのごとく眠りけり
寒晴や象の背骨のきしむ音
老幹のしぼりだしたる梅一輪
蝉時雨空に柱のあるごとし
青空に首あづけたる蓮の花
天青へ水たちあがる瀑布かな
籐椅子を二つ並べて眼下は海
月光を身体の奥へいそぎんちやく
鹿と猿睦みて春の山しづか
前を行く母よきつねのかみそりよ
寄居虫に潮力とどく別れかな
月を吐く雲よ地球に原子の火
鍵穴をのぞけば永遠の紫雲英原
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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