『永遠集』は山田露結(1967 - )の第2句集。私家版の豆本。
作者は「銀化」同人。
もう春が来てゐるガラス越しに妻
ぶらんこに乗つて一年たつといふ
気をぬくと暗い椿が見えてしまふ
スペシウム光線で勝つはるうれひ
薔薇園に行く妻と行く必ず行く
アイスコーヒー一人は祈るやうにして
穴よりも大きな蛇が穴に入る
きつねのかみそりよく燃えさうな老女ゐて
ドアノブのひとつは無効ひとつは晩秋
襟巻を外さぬ首と愛し合ふ
大きさの違ふ三つの枯野かな
落ちてくる手袋のまだ空中に
壁の絵の裏にかならず冬の蜘蛛
大阪を異国と思ふクリスマス
妻の声で低く囁く毛布かな
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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