『花朝』は鈴木太郎(1942 - )の第5句集。
作者は「雲取」主宰。
億年のひかりむさぼる冬桜
泪目の母よ正月会ひゆけば
母 光子 逝去
母死にき寒中の息使ひ切り
きさらぎの鼻筋通るまで歩く
反射炉の影を出てゆく山棟蛇
地動説 四百年
ガリレオの地球のかしぐ百千鳥
放心のいま紅蓮につながれる
しらぬ間の生傷ひとつ牡丹の芽
会津若松
地に置かず火を持てといふ流灯会
鉄線にかかはりのなき椅子二つ
夏蝶のくらりふはりとなまぐさし
片蔭を出てカメハメハ大王像
秋薊あさぎまだらは旅の途次
アサギマダラ―筑波地方から奄美地方へ渡る蝶
野分立つ闇あをあをと醤油蔵
ダリの絵の四方の無風よ年惜しむ
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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