『小判草』は大崎紀夫(1940 - )の第8句集。
作者は「WEP俳句通信」創刊編集長を経て「やぶれ傘」主宰。
炭焼の小屋へ弁当届きけり
朝市の裏手に雪のしづる音
オシラさま遊ばせる日の花林檎
春昼の大皿小皿てらてらと
手が伸びて春の雷鳴ひと握り
炎昼の電柱に電線の影
小判草日暮れの雨は海より来
月白の川原に工事事務所の灯
田の神の甑(こしき)へと雪鉢へ雪
冬凪いでかまぼこ工場より煙
冬深む隣りの椅子に鞄置き
花ぐもり河口の砂嘴に鵜は並び
蝉しぐれ舞殿の塵掃かれゐて
幕間は酒盛りとなる村芝居
空堀の底をゆらゆら冬の蝶
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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