『金魚玉』は黒澤麻生子(1972 - )の第1句集。序文:鍵和田秞子。
作者は「未来図」「秋麗」同人。
守宮出て夜が落ちてくる安ホテル
弟は寮より寮へつばくらめ
日焼け少年銀の指輪を武器のごと
消えさうで消えぬ蠟燭滝の前
湯を注ぐだけのもの食ひ寒の星
鎖骨出して歩くか雪の六本木
風を読むラガーの耳の尖りけり
黄金週間終はる大きな月出でて
秋刀魚食ふ江戸の大火を思ひつつ
杉玉は地球のかたち秋気澄む
秋風や家族のやうな鍋捨てて
寝袋で三和土に眠り夏休み
木洩れ日の差しこむ蟹の通ひ路よ
梅干すや宇宙に骨を撒く話
手術後のやうな傷ある茄子の馬
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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