四月後半に大きく体調を崩し、寝てばかりでほぼ一冊も本が読めなくなった。なので消化できた冊数が異様に少ない。
急ぎの作業を間に合わせるのに手一杯。
角川文庫の開高健は子供の頃よく見かけたが、古本できれいなのはなかなか出てこない。
堀江敏幸『音の糸』小学館・2017年
《静かに響きわたる、著者初の音楽エッセイ
小学生の時に友人の家で聴いたカラヤンのレコード、中学校の音楽室で耳を傾けたブラームス、日曜朝のFM放送、故郷でストーヴを焚きながら聴いた灯油の臭いのするカセットテープ、大学生になって、抽選で当たって訪れた“はずだった"、あるピアニストのコンサート……。
音の記憶の糸をたぐり寄せ、絡まった糸を一本ずつ解きほぐしていくと、そこには何が見えてきたのであろうか――。
《音の糸は音の意図。場合によっては神の意図にもなる。翻弄されるのはつねにこちらのほうであって、だからこそ音楽との一対一の関係に適度な緊張が生まれてくる。どんなに絡まり合っていても、それが音楽にまつわる身分証明である以上、むげに断ち切ることなど、いまもこれからもできはしないだろう》(本文より)
50篇で綴る、音楽と記憶の断片。》
メルヴィル『新集世界の文学11 メルヴィル』中央公論社・1972年
水上ルイ『ワガママなハニー❤』B‐PRINCE文庫・2009年
《僕、松本司は大富豪・朝倉家の別邸のご主人様に仕える執事(見習い)をしている。ところが何とそこで、僕は運命のダーリン❤尚哉さんと再会! 小さい頃に「ずっと一緒にいようね」って、約束のキスをしてから、離れ離れになっていたんだけど、尚哉さんは格好イイお医者様になっていて❤ でも…せっかく再会してラヴラヴなはずなのにキスはおでこだし、エッチにはなかなか進めなくて!? クリスマスショート書き下ろしつき❤》
多田鉄之助『そば通ものしり読本』旺文社文庫・1986年
《一読でそば通になる本。日本人の最も愛好するそばの起源、歴史、種類、つくり方、逸話を満載。》
大江健三郎・古井由吉『文学の淵を渡る』新潮社・2015年
《互いに深い敬意を抱く二人が、この22年間に交わした文学的対話を集成。ギリシア悲劇から日本の古典、百年にわたる日本の短篇小説、国内外の近現代文学、外国語詩を読み、それぞれの小説作法や翻訳のはたらき、八十歳を目前に書きたいと夢みる小説について語りあう。誰もが引き込まれる文学的トピックが満載の対話集!》
赤坂真理『愛と暴力の戦後とその後』講談社現代新書・2014年
《《国のかたち》が揺らぐいま、必読の日本論!
この国の現代史を理解するための、はじめの一冊
あの敗戦、天皇、アメリカ、憲法、安保闘争、バブル、オウム事件、そして3.11……
誰かが何かを忘れようとしていた。
誰もが何かを忘れようとしていた。
『東京プリズン』の作家が、私たちが消してきた記憶をつむぐ。
【推薦! 驚愕!】
いまの時期にこそふさわしい、戦後社会と民主主義について深く検討する本――高橋源一郎氏
日本とは何か。お前は何者だと、問い詰めてくる。驚愕し、恐怖して読み終わった。こんな本は初めてだ――鈴木邦男氏》
横田順彌『俺はスーパーマン』講談社文庫・1989年
《地球上の数十億の人間のなかからただ一人選ばれて、スーパーマンになった男。ところがこれが、高所恐怖症やら対人赤面恐怖症などなど、欠陥だらけの実験用だった! が、人類の幸福と正義のために、猪突猛進あるのみ――。ハチャハチャの元祖による、珍無類、涙と笑いがいっぱいのスーパー騒動譚。》
勝目梓『夜の万華鏡』徳間文庫・1985年
《同棲相手の美紀が三日間も家に帰らない。勤め先の銀座のクラブも無断で欠勤している。大山夏夫は美紀の行方を知る手掛りはないものかと室内を調べるうちに、社会面の一部を切技いた一週間前の新聞に気づいた。それは最近売り出し中の若手俳優若杉卓也の夫人が老人を轢死させた事故記事であった。夏夫の胸中に一瞬、閃くものがあった(「夜の失踪者」)。
著者ならではの官能サスペンス珠玉集。》
黒岩重吾『機械の野望』角川文庫・1984年
《証券セールスマン泉原は、入社三年めで、売上げトップの座を獲得するほどの凄腕であった。彼は、株の相場に勝つことだけを人生の目標にしていた。そのためには、外車セールスをする恋人の客さえ、横取りをしてしまうほどであった。
そしてある日、泉原は、資金のある客たちを集め、一世一代の大相場を作ることをもくろんだ。
ところが、目当ての株は暴落の気配をみせはじめたのだ――。
株に生きる男の姿を描く表題作のほか、人生の深淵を見事にとらえた傑作作品集。》
収録作品=仙見川の夜/罠の冠/二つの顔/機械の野望/人形の足跡/凍った舞台/陥没の季節/花壇の孤愁
五木寛之『白夜草紙』文春文庫・1977年
《あたかも昼のように見えるが、実は夜なのだ――。大学教師の座からドロップアウトした知的傍観者とその妻、流行歌手をめざす少女、そして若き革命者たちが都会の片隅のスナック、街なかの雑踏にくりひろげる70年代へのレクイエム。現代の虚無と倦怠を、抑制した筆致で的確に描きあげた異色の長篇ロマン。 解説・松本鶴雄》
田中康夫『トーキョー大沈入』文春文庫・1988年
《あるときは都市ホテルのイヴ明けのロビー風景から、またあるときは聖心女子学院の文化祭やコンパニオン嬢の会話から、東京の新しい貌と時代の空気の最先端をズバリ捉えて解析した、とびきりユニークで面白いエッセイ26篇。最高に冴えていると評判の著者が、すべての世代に贈る“今という時代が分る本”です。解説・舛添要一》
酒井健『シュルレアリスム―終わりなき革命』中公新書・2011年
《シュルレアリスム(超現実主義)は、第一次世界大戦後のパリで生まれ、世界に広まった文化運動である。若い詩人、文筆家、画家が導いた。戦争、共産主義、ファシズム、無意識、エロス、死、狂気などアクチュアルなテーマに取り組んで、近代文明の刷新をもくろむ。個人の壁、国境の壁を超えて多様な生の共存をめざしたその革命精神は、情報と物に充足する利己的な現代人に、いまだ厳しい批判を突きつけて、生き続けている。》
毛綱毅曠『七福招来の建築術―造り、棲み、壊すよろこび』カッパ・サイエンス・1988年
《「普請道楽」こそ、ヒトの本性である 「著者のことば」
「建築する」ことは、理屈ぬきで気持ちがいい。なんてったって七つの福(富、情報、文化、学芸、健康、食、技術)を招き寄せる行為だから。しかし、ただ便利・清潔・経済性を至上とする現代の建築に、七福は無縁だ。ヒトは、何百万年も、自然とともに生きてきた「記憶の遺伝子」を、体内に抱えている。そのつぶやきに耳を傾けよう。すると建築は、美しいが醜く、安心だがすこし怖いというスリリングな風貌を露わにする。このスリルこそネヒトを普請道楽の世界に誘う原動力だ。七つの福は、そのときやって来る。》
開高健、C・W・ニコル/撮影―立木義浩『野性の呼び声』集英社文庫・1986年
《ひとりはアラスカやエチオピアの荒涼とした自然の中で働いてきた男だった。ひとりは、いくたびも書斎からアマゾンや流氷のカナダへ、釣の旅にでかけた男だった。ある日、ふたりが出会った。たがいの皮膚に野生の呼び声が聞こえた。ひとりの男が、ひとりの男を雪の山荘に招待した、この本は、こうしてページを開くことになったのである、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、》
開高健『白いページⅢ』角川文庫・1985年
《開高 健。いうまでもなく、現代日本文学を代表する作家であり、同時に、一個の巨大な人間である。知の人は感性の人であり、行動の人である。
ミクロからマクロまで、食卓から戦場まで、旺盛な探求心はいまも燃え続けている。博識・観察・体験・思想。
ここには、エッセイストとしての稀有の才能が、独特の語り口によって余すところなく発揮されている。本書によって完結した「白いページ」シリーズは、読むことの豊饒と快楽を必ず約束してくれる。》
西村京太郎『東京駅殺人事件』カッパ・ノベルス・1984年
《「一億円をよこせ! 要求をのまねば、今日午後二時に東京駅を爆破する」駅長室にかかった脅迫電話――130万人の乗客の安全と犯人逮捕をめぐり、北島駅長と十津川警部の間に微妙な対立が……。爆破予告時刻は刻々と迫る。ついに犯人の指示どおり、一億円は「踊り子号」にのせられたが、そこには巧妙な罠がしかけられていた! 爆弾は構内のどこに隠されているのか? 日本の顔・東京駅を舞台に、捜査陣と脅迫犯人との45時間にわたる息づまる駆け引き……。
大好評トラベル・ミステリーに新生面を拓いた、謎とサスペンスあふれる「駅シリーズ」第一弾!》
《駅には、さまざまなドラマがある。東京駅は、一日の乗降客百三十万人といわれるから、百三十万の人生と、ドラマがあることになる。
人って来る列車があれば、出て行く列車がある。殺意をのせて来る列車があれば、愛を運んで行く列車もあるだろう。
そして、巨大な東京駅を破壊しようと企む人間と、駅と乗客の安全を守るうとする人間との戦いもある。
これは“駅シリーズ”の第一作である。
「著者のことば」》
《特殊建造物に挑むミステリー
作家・国鉄職員 萩原良彦
全国津々浦々を走る列車を舞台に、あまねく鉄道知識を駆使し、トラベル・ミステリー作家として、他の追随をゆるさぬ佳作を次々カッ飛ばした西村京太郎が、遂に今度は“駅”という特殊構造物をポイントに、いわゆるステーション・ミステリーに挑んだ。
題して『東京駅殺人事件』――
日本の表玄関・東京駅には、国鉄マンや鉄道マニアも未知のセクションが、各所に内在されている。そうした特殊構造建築を舞台に、名ストーリー・テラー西村京太郎の才能がいかなる飛躍をみせるか!
これは読者待望の新シリーズであり、その代表作といえよう。》
大槻はじめ『ジョーカーは愛を囁く』ダリア文庫・2012年
《よれよれのスーツに黒縁メガネ、いつも俯き加減で冴えないダメリーマンの佐藤太郎。それは美貌と強烈なフェロモンを武器に虜にした男たちから『糧』となる体液を得る淫魔・カイトの世を欺く昼の姿だった。ある晩、カイトがゲイバーで獲物を物色していると、イケメンで有能な会社の上司・狩谷がやってくる。カイトは自分の昼間の姿しか知らない狩谷を今夜の獲物にと誘惑するが……!?》
開高健『ロマネ・コンティ・一九三五年』文春文庫・1981年(川端康成文学賞)
《この作家長年の旅と探求がもたらした、深沈たる一滴、また一滴。酒、食、阿片、釣魚など、官能の諸相、その豊饒から悲惨まで、精緻玲瓏の文体で描きつくし絶賛された六つの作品。ここ十数年の、散文表現の頂点ともいうべき成果が、この名短篇小説集である。川端康成文学賞を受賞した「玉、砕ける」を収める。 解説・高橋英夫》
収録作品=玉、砕ける/飽満の種子/貝塚をつくる/黄昏の力/渚にて/ロマネ・コンティ・一九三五年
森本あき『あなたのおもちゃ❤』白泉社花丸文庫・2007年
《たった一日。しかも完璧な女装済み。絶対にばれない。大丈夫。───―だったはずなのに。「なんで、お触りキャバでバイトしてんだ?」 大学で人気ナンバー1のゼミ仲間・和田国嘉に、正体を1発で見破られ、央人は大パニック! あげく国嘉は、「バラされたくないだろ?」なんて央人の体を好きにしながら悪魔の脅迫をしてきた! 憤慨する央人だったが、百戦錬磨の国嘉に太刀打ちできるはずもなく、結局、アレやコレやされてしまい……!? ふらちでスリルな脅迫関係♡》
開高健『食後の花束』角川文庫・1985年
《彫琢された言葉で人間を描き続ける作家は、常に森羅萬象に多情多恨である。現代日本を代表する作家・開高健は、多情多恨の歳月を、世界を旅して戦争を取材し、釣り糸を垂れ、酒を味わいつつ送ってきた。とぎすまされた感性と知性は、行動を伴って新たな思索をうながされ、フィクションとして、またノン・フィクションとして作品に結実する……。
本書は、著者の30年以上の作家生活の足跡を辿れる意図をもって編纂され、折にふれ綴られたエッセイを精選したものである。ミクロからマクロまで、森羅萬象に多情多恨のこの作家の、文学の豊饒の秘密を垣間見せる一書。》
椿めい『手を繋いで視線を重ねて』白泉社花丸文庫・2013年
《人気のキャラクターも手掛けるフリーのイラストレーター・柳カナメは、温厚な性格に反し吊り上がった三白眼のせいで人に怖がられ避けられてきた。その見た目のコンプレックスを隠すためのサングラスが手放せずにいる日々だ。締切明けのある朝、行きつけのカフェで、カナメは小さな男の子を連れた優しい年上の男・宝生と出会い、やがて子供の世話を頼まれるほど親しくなる。自分の見た目を気にせず接してくれる宝生にカナメは惹かれていくが、彼の奥さんの存在が気になって!?》
海原透子『不器用な恋のトライアングル』B‐PRINCE文庫・2012年
《憧れの巽と生徒会で一緒になった琉生。クールで知的な彼を遠くから見ているだけで充分だったのに、毎日胸のドキドキが止まらない。何とか仲良くなりたいと頑張るけど、巽をライバル視している同じ生徒会で幼馴染みの遼に邪魔され、へこんで…。
でもそんな琉生に合わせて、巽はゆっくりと二人の距離を縮めてくれる。琉生の中で憧れが好きの気持ちになった時、突然、遼から告白され!? 高校生たちの青春トライアングルラブ❤》
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