『素数』は高石直幸(1947 - )の第2句集。先の『憧憬』と同時出版で、こちらには2012年以降の句を収める。
作者は「雲母」「白露」を経て「堊」代表、「今」創刊同人。
獅子座流星群龍太先生より電話
龍太逝きし日のきさらぎの時計澄む
蝉しぐれ素数のごとき俳句欲し
偶数の素数はひとつ秋暑し
雪の夜は押入れに棲む数学者
象のごとくに振り向く釈迦に春夕焼
卒然と酒場がありて冬ざくら
宇宙線が鎖骨つらぬくジギタリス
水飲んで漆のごとく秋の闇
無量大数越えて矜羯羅去年今年
麦秋や蔵真つ白に少年期
緑陰に若者の抱くサキソフォン
引き出しに遺書玄関に鳳仙花
小鳥来る寺町を来る調律師
桜紅葉壺中の天を明るうす
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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