『霜柱』は若林波留美(1937 - )の第5句集。序文:山﨑十生。
作者は「紫」副主宰。
おほぞらの順(まつろ)ふまでに獨樂澄めり
光速を超えしさびしさ月夜茸
八方が見えて囘轉椅子孤獨
冬晴にあづける五體日本海
幾夜火を噴きあぐ富士の少年期
さびしさの根幹として土星の輪
記紀の世の空はおほきな螢籠
乳は白血はくれなゐや初日の出
化石醒む立春の理科準備室
しやぼん玉微塵の隙もなき歪み
盲導犬時折眼あぐドラムソロ
口閉ぢし屍(かばね)のあらず空襲忌
兵の骨銜へて戻れ秋の蛇
糊匂ふ義肢製作所開戰日
九段冬晴ひとつしかない體です
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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