『日脚』は岡田耕治(1954 - )の20年ぶりの第2句集
作者は鈴木六林男に師事。「花曜」「光芒」を経て「香天」創刊代表。
牡丹の芽友は女のもとにいる
家中に草のびている朝寝かな
手をつなぐ祭の中を抜けるため
家で死ぬ干し物の空高くして
恋人の顔が切りたる蜘蛛の糸
蜻蛉の向きの変わりし読書かな
恋愛の歩いて渡る秋の川
フラスコの中が燃え出す花の夜
全員が出掛けるというバナナかな
血管をたどる八月十五日
理科室の全身に雷走りけり
抽斗の全てを抜けば葉月来る
初時雨倉庫の中に椅子を置き
共に読む絵本の決まる蒲団かな
煙突の内を濡らして春の雪
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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