『花桐』は小島俊明(1934 - )の第3句集。帯:飯田龍太、跋文:松林尚志。
作者は詩人、翻訳家。訳書にサン=テグジュペリ『星の王子さま』(中央公論新社)、アンリ・ミショー『アンリ・ミショー詩集』(思潮社)、ピエール・クロソウスキー『バフォメット』(ペヨトル工房)、ピエール・ジャン ジューヴ『パウリーナ1880年』(沖積舎)、レミ・ド・グールモン『愛の自然学―性本能について』(現代教養文庫)他。
跳ね鯰乳首を吸ひし幼時あり
赤松の肌燃え上がる初日の出
ふるさとは裸足で歩め雲雀啼く
がちやがちやの鳴く堤防下映画会
寒中に全裸の富士が目を奪ふ
春疾風少女駆け抜け佇(た)つわたし
コスモスの一輪のこる寒波かな
光呼ぶ玄関先の石蕗の花
「高野喜久雄さんの訃に接して 十句」より
ジヨットの天使みな泣く五月空
天上の青宿しをり瑠璃の声
落葉掃く箒にすがる枯蟷螂
寒虚空きみ満ち満ちて忌日くる
地底からわれを通るや大くさめ
早春や一筋の川宙流る
銀鱈の大切り身焼く四旬節
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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