『展翅板』は古田嘉彦(1951 - )の第3句集。「工房ノート」収録。
作者は「吟遊」「LOTUS」同人
以下、後半の句はキリスト教信仰についての長い前書きが付く句が多いが前書きは省略。
どうしても五月雨に似てくる捕食
何本足か分からぬ黄昏がそっと水浴び
―水ぬるむ―の速度で複葉機燃えだす
伸縮自在の駅員が悩まされる白鯨
球根で殖える自転車=重力の危機
三角部屋を寒いと言うのは誰か
立葵散乱しているようでいて散歩
紫陽花がつけ入る病室の弾力性
熱気球掃除したばかりでもう蔓草
霙→「本当に雛人形を試したか」
メリーゴーラウンドの馬に振袖掛ける夜
青武鯛にも繃帯使った育て方
雪原にヴァイオリン弾き集め恢復期
鬱然と生(は)えてくる昆虫 ―赦し―求め
見えぬ星染め抜いた布縫い続け
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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