『ロマンスカーの人』は吉田瞳(1949 - )の第1句集。序文:黒田杏子。
作者は「玉藻」会員、「群青」創刊同人。速記者。
「俳句」2010年6月号に、榮猿丸・大谷弘至・鴇田智哉・関悦史による「若手俳人の季語意識―季語の恩寵と呪縛」という座談会があり、これがSST結成のきっかけになったが、吉田氏はその時に速記を担当している。
病院は草の匂ひや聖五月
靴鞄あをばがくれの修理店
石炭の燃ゆる音のみ読書室
初ものの子芋はうまさより白さ
万年筆談義始まる避暑の宿
美術館とホテルを分かつ冬の道
青年の飴切る音よ夏旺ん
大雨のけふで三日目ましら酒
冬ざれを校庭ふたりゐて広し
石段を登りあぐねて七五三
肩掛をゆるめロマンスカーの人
脚長き新入社員すぐ帰る
四階へ来れば席あり暮の春
母がゐて青葉の中のわれを呼び
釣人と息の重なる鮎釣られ
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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