『虎の夜食』は中村安伸(1971 - )の第1句集。ツイッター小説を随所にさしはさんだ編集。
作者は「豈」同人。
睡るため翼の欲しき五月かな
黄の薔薇の一輪愛し一輪踏む
秋の昼ヴァイオリンとは一人の森
少女みな写真のなかへ夕桜
全山の桜を背負ふ古狐
馬は夏野を十五ページも走つたか
うれひつゝ紙風船の船長に
新宿の月に髭描く遊びかな
コスモスは咲いてゐないと兵士のやう
蛇となる前のをみなを鏡の間
殺さないでください夜どほし桜ちる
京寒し金閣薪にくべてなほ
燃えるピアノの上に無疵の胡桃かな
秋雨の空母は誰が妻ならむ
神旅を終へて子宮に到着す
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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