『夜の森』は駒木根淳子(1952 - )の第2句集。跋:山下知津子。
作者は「麟」創刊同人。福島県いわき市出身で実家が被災。
びしよ濡れの少年とほる立葵
滑落の一瞬蛇の伸びきつて
掛大根潮騒に痩せ月に痩せ
父の亡き調剤室の冬灯
遺されて春の小川をうたふ母
東日本大震災 三句 より一句
春寒の家なき母となりにけり
見る人もなき夜の森のさくらかな
家毀つ順番来たり雲の峰
海底に黒髪のまま雛の坐す
夕立のはじめ見逃す戦争も
燃料棒融けゆく花の奈落まで
風船爆弾作りし母よ八月よ
永久に二時四十六分大霞
猫の子に人口零の町の闇
踏切のむかうが遠し黒揚羽
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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