『椿、椿』は和田耕三郎(1954 - )の第5句集。
作者は野澤節子、きくちつねこに師事。現在、同人誌「OPUS」代表同人。
みささぎに頬とがらせて鷺交む
春惜しみつつ坂道を下りけり
すれ違ふ少女に蛇の匂ひせり
籾殻の山ぽたぽたと燃えゐたり
山々の少しづつ痩せ鵙の贄
海底に落ちゆくねむり蝶黒し
竹の子の雨美しくなりにけり
残業の妻帰り来る良夜かな
子燕やスイッチひとつで風呂沸きぬ
極寒の海には海の道ありぬ
初秋の鏡の中が澄んでをり
満天の星を数へて狸汁
落花一片つけて大ざる乾きをり
水澄んで一匹の魚見失ふ
古タイヤ燃えてゐるなり冬の暮
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。