「日時計」(発行:坪内稔典)No.7(1970年5月)から。
大橋嶺夫「悲劇性について」、仲啓樹「優雅なる陥ろう―社会性論議の彼岸へ」を掲載。
この号から突然、それまで前衛俳句の単なる亜流のようであった攝津幸彦が、われわれの知るあの攝津幸彦に変貌する。
遠くから来る鋼鉄のひびきの死者 林田紀音夫
夜にまぎれた振子の音の亀裂すすむ
一月許可のほとけをのせて紙飛行機 攝津幸彦
股青くけぶらせ少年分裂す
かくれんぼうのたまごしぐるる暗殺や
氷挽く痛み半身遺伝して
人肌をむすぶめねじのかほるなり
ひとみ元消化器なりし冬青空
麦穂の針の千本流れ夢見の鶴 沢 好摩
火が火柱つたふや死者はうりふたつ 立岡正幸
バレンタインデー 藁人形になってる私 糸山由紀子
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