俳人では50句詠で関悦史、堀田季何、渋川京子、30句詠で増田まさみが登場。
近藤栄治による俳句時評は中沢新一・小澤實によるアニミズム論議、第7回田中裕明賞の北大路翼『句集 天使の涎』、さらに堀切実『現代俳句にいきる芭蕉』について。
喰ひあうて人語解する金魚かな 堀田季何
氷水ふかく緑の楽園が
瞳孔に似てつくし野は濡れており 渋川京子
天然の真闇は黯しほたるいか 増田まさみ
俎板に万の血ながれ鰐鮫よ
この「ガニメデ」vol.67に出した拙句50句の中には《スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』による13句》という連作が含まれている。本を読んでいて、この内容は誰かに伝えなければと句を作り始めてしまい、この本に興味を持ってくれる人が一人出れば成功と思っていた。
そうしたら柿本多映さんがたまたまこれを見て、妙に気をそそられ本を注文することにしたという。私の句のことだから無残な場面ばかり拾っているのだが、柿本さんは、それでもその向こうに「ロマン」を感じたというのだ。
たしかにそういう要素もある本ではあった。祖国防衛のため居ても立ってもいられず次々に志願兵として最前線へ飛ぶ少女たちとか、群体内の恋愛とか。私の句はそこまで全然掬えていないはずなのになぜか伝わってしまったらしくて、俳句では何がどこまで伝わるか読めない。
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