『文様』は鳴戸奈菜(1943 - )の第7句集。2011年から2015年までの作を収録。
作者は「らん」発行人。
秋蝶に追われる老女誰ならん
春ショール母の白髪か抓み捨つ
水のはずの雲が浮かんで四月かな
昼の月わたしの顔はこれひとつ
どの紐も恐し花の夜ひとりなら
人影の吹き飛ばされし青嵐
空青く一番高い木から枯れよ
お目出度いと言われておりぬお正月
東日本大震災追悼 三句から
春の海水が溺れておりにけり
花氷溶けない花はゴミ箱に
わたくしの三人老いし三面鏡
鴉が狙う子猫かわいや小春日和
全焼の寺一本のまむし草
ほだされて火の見櫓にのぼれば秋
家までの道がもうない芒原
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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