『小橡川』は高橋龍の最新句集。
松飾る図書館へ水飲みに行く
飛び出し絵本閉してねむる弥生尽
助詞のくるひ一ミクロンに花疲れ
にれの木ににいにい蟬がねむりゐる
敏雄ほどには見えぬはるかや夏霞
蟻の巣に古地図拡げてかぶせけり
男子(をのこ)みなスサノヲの裔姉姦す
梨の木を約十二本打(ぶ)ちのめす
月を見る一人の中の二人かな
切株の歩きはじめは秋の暮
聖杯か毒杯かゲシュタルトの図
噴霧器(きりふき)で現象学は消されたり
ヴァグナーと高柳重信
共に泳ぐ/船長に/海/死を許さず
独身の午後爪先に冬すみれ
木には木の黙秘権あり四温かな
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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