『思ってます』は池田澄子(1936 - )の第6句集。2011年から2015年半ば辺りまでの作を収録。
作者は「豈」「船団」「面」所属。
春寒の灯を消す思ってます思ってます
父在りき写真に浴衣で在すゆえ
先生が死んでおられた冬麗 嫌(や)だ
此処あったかいよとコンビニエンスストアの灯
自力ではウランは石を出ぬなり雲雀
ファーストキッスのあと立てなかった遠花火
暑そうな外を眺めるお八つかな
イエス・キリスト痛かったであろう青葉風
黙禱や昼寝のように眉間に皺
桜・リラ・缶・ビン・ペットボトル・我
まさか蛙になるとは尻尾なくなるとは
投げやすそう蜜柑電話の子機拙著
この世は秋先程までは母在し
今日のように日昇り東京大空襲
来るのはいつも同じ蝙蝠かしら来た
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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