« 2016年7 月 | メイン | 2016年9 月 »
いささか告知が遅いが、小津夜景さんが8月5日から「フラワーズ・カンフー」というブログを始めた。
ネタも着眼もヘンで面白い。
このブログの右側の「俳句関連リンク」に加えておけばいいようなものだが、度重なる仕様変更のせいか、この辺の変更の仕方がさっぱりわからなくなったのでこちらでお知らせだけしておく。
「秋草」(発行編集:山口昭男)2016年9月号から。
蔓草の下をくぐりて水着の子 山口昭男
蚊のこゑのひとつ波うつ畳かな 三輪小春
蛇臭き水に洗ひしナイフかな 石崎圭太
植田へと額の白き男かな 立川由美子
「季刊芙蓉」(編集:照屋眞理子、発行:「季刊芙蓉」俳句会)2016・秋から。
ハンバーガーの中身はみ出す新社員 川口伊都子
甲板へ七夕竹の運ばるる 金子 敦
「連衆」(編集:谷口慎也)No.75(2016年8月)から。
らんだむにヒトと生まれて水すまし 森さかえ(特別作品)
白藤やこの世の湯浴み終わりけり 谷口慎也(特別作品)
梅真白死者は影から立ちあがる 芝崎 梓
仏教や大滝消えし山肌よ 奥谷らん
ワタシを棄てた男が死んだとろろ飯 笹田かなえ
「鷹」(発行:小川軽舟)2016年9月号から。
加藤静夫×髙柳克弘対談《俳句で「今」を詠む》を掲載。
蓜島啓介の俳句時評は、戦争・社会詠について。《戦争を詠うにせよ平和を詠うにせよ、読者の心を打つのは個の体験であり発見である。》
風鈴や降るぞ降るぞと暗くなる 小川軽舟
子供減り猫増え更地茂るなり
生き過ぎと思ふ吾が身にまた夏が 星野石雀
炎天に時間が聳え立つてゐる 奥坂まや
怒り濃くハンカチ畳みゐたりけり 髙柳克弘
個々灼けて個々動きをりスタジアム 大石香代子
硯洗ひ眼洗ひてゐるごとし 永島靖子
立版古ともし展くはわが一世(ひとよ) 竹岡一郎
「白茅」(代表:中田剛)第13号(2016年春夏)から。
招待作家作品に片山由美子、友岡子郷。
やつるるろいふことにはか水中花 片山由美子
梅雨荒れの表札一つ草に落つ 友岡子郷
春愁気ままにピアノ弾くことよ 中田 剛
筍や古き陶片もち上げて 坂内文應
羅や天守は風の吹き渡り 神蛇 広
去る8月19日から21日まで松山で第19回俳句甲子園が開かれ、私も行ってきた。
そのウェルカムパーティーの折に、高校生たちから部誌を3点ほどもらってきたので、そこから抄出する。
*
改札を抜ければ夏至の潜水艦 石丸響子(愛媛県立松山東高校「金平糖」No.6から)
日焼子の背にひとすぢの真水かな 光藤多恵
散らばった空暮れ残す潮干かな 山根未久
秋の日を受け答案の以下余白 森川大和(顧問)
祖母が摘み親父が食べる苺かな 大地(洛南高校「夢椿」第6号から)
日記買う私が私を好きなうちに 悠凪
コカコーラよりもペプシ派天の川 夕星
青色の舌に祭りの余韻かな 二村葉月(愛知県立幸田高校「文芸幸田」26号から)
「円錐」(編集委員:山田耕司・今泉康弘・澤好摩・橋本七尾子)第70号(2016年8月)から。
「円錐」創刊25周年記念号。特別寄稿・たむらちせい「贋・辺土通信」、澤好摩「円錐の二十五年」、今泉康弘「白泉の何が新しかったのか」等を掲載。
ビルの影踏んで行きしは春の猫 荒井みづえ
空を飛ぶ骨あり、高い高い窓に 今泉康弘(知人のガンを詠んだ連作から、前書略)
けふもまた昔とならむ赤蜻蛉 江川一枝
白むくげ婚期逃した子と写る 後藤秀治
襖あけてまた襖あり初音かな 澤 好摩
あぶく蟹めがねのねじをしめなほす 宮﨑莉々香
生肉を寝かせてきたる花見かな 山田耕司
「里」(編集:中山奈々、副編集:小鳥遊栄樹、同人会長:仲寒蝉、発行:島田牙城)2016年8月号から。
万緑や神の大きな目鼻立ち 仲田陽子(「この人を読みたい」欄新作10句から)
一階に降りる用事や明易し 小豆澤裕子
店先の蛸裏返すときねばる 島田牙城
役立たぬ茸図鑑や秋暑し 黄土眠兎
八月のリリアン・ギッシュその微笑 媚庵
ハードディスクの小さき音や夜の秋 倉田有希
サルビアの老人の顔見えてゐる 上田信治
白は砂で崩れて赤鱏がこちらに来る 佐藤文香
夏場所のテレビを消せば家古し 堀下 翔
日雷いつも鎮痛剤は箱 中山奈々
デパスより落ち着くものに蚊遣香 喪字男
「鏡」(発行編集:寺澤一雄)第21号(2016年8月)から。
金魚ゆらゆら接吻をするなら早うせよ 越智友亮
三ノ丸跡に県庁更衣 佐川盟子
虹二重もうパエリアの出来る頃 笹木くろえ
友情や水着のごとく花カンナ 佐藤文香
空豆と白葡萄酒の婚姻よ 村井康司
水芸で立ち向かひたる女将かな 三島ゆかり
剪定に忙し東京大学は 寺澤一雄
最近のコメント