「里」(編集:中山奈々、副編集:小鳥遊栄樹、同人会長:仲寒蝉、発行:島田牙城)2016年4月号から。
特集は《しばかぶれ第一集の胞子にまみれる》で、中山奈々の句他の鑑賞。
堀下翔「俳句雑誌管見」第24回は藺草慶子句集『櫻翳』について。
恋の猫頤揉めと膝に来る 谷口智行
性欲のありつつ眠る黒揚羽 ローストビーフ
夜桜が下剤のやうに効いてゐる 喪字男
日本語の発音の良き夏ドレス 月野ぽぽな
あぢさゐの部屋が明るい置時計 上田信治
温室に人の小さき五月かな 青本瑞季
チューリップひらく充血するやうに 青本柚紀
古代魚に生餌あたふる春あけぼの 正木美和
美大生あやめ写生す脚白く 田中惣一郎
冷えながら雲の去りゆく牡丹かな 堀下 翔
どこにでもゐる小林と野焼見に 仲 寒蝉
《そういえば、自分で自分に笑顔を作るとマイナス感情が軽減されるのだった。人の心は、ある深さにおいては、生きているだけで笑っていて、顔が笑うと、意識がそれを思い出すのだと思う。》上田信治「成分表」121
なお本号と同時に月湖・著『とぅむるま』という冊子が邑書林から出た。
「里」所属俳人その他の句にイラストと詩を付けたもの。109頁、定価1,000円。
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