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「里」(編集:中山奈々、副編集:小鳥遊栄樹、同人会長:仲寒蝉、発行:島田牙城)2016年3月号から。
この先に厄年はなき菠薐草 河西志帆
去年今年篁は山上りゆく 谷口智行
夏蝶の水にとまりし秩序かな 男波弘志
にんにくを炒めるオイル聖五月 ローストビーフ
髓へ至れり白梅の幹の罅 島田牙城
しやがむ脚春の光にふくらめる 上田信治
繋がれてゐる手が菜の花の高さ 青本柚紀
われを曳く小蟻を夢や釣忍 田中惣一郎
海持たぬブータンの田の涼しさよ 堀下 翔
永き日の丸薬ことに跳ねやすく 仲 寒蝉
「円座」(発行:武藤紀子、編集:小川もも子)2016年6月号から。
関悦史「平成の名句集を読む」第11回は、佐藤鬼房句集『瀬頭』について。
光る川いくつ渡りて梅探る 武藤紀子
のどかなり蠅とぶ音のいつまでも 中田 剛
根付きたる苗木に春の雪二寸 曽根京子
水音の先に桜のしだれけり 山中多美子
ブランコを大きく漕いでゐる孤独 浅井沙衣子
アスパラガス我の背丈は縮まりぬ 津村京子
「季刊芙蓉」(編集:照屋眞理子、発行:「季刊芙蓉」俳句会)2016・夏から。
未来譚聞かされてゐて朧かな 照屋眞理子
春の風邪一重瞼の二重なる 呉竹弓夫
豆打ちて三十五階鎮めをり 藤岡尚子
大根にハンドルとられてしまひけり 堀 裕子
コミュニティーバスに海の絵風光る 太田美砂子
去る部屋の春塵さへもいとほしく 尾崎 薫
万国旗引き摺つて来る水遊び 金子 敦(招待席)
「陸」(発行:中村和弘)2016年6月号から。
巨き泡吐きて鯰の萎みけり 中村和弘
戦争にとり残されし鯉のぼり
ワイングラスの危ふい触感春遅し 稲村茂樹
囀や出窓に寝かすヨーグルト 淺沼眞規子
大空へ別れの一枝剪定す 北村風居
マイナンバーマイナス金利老の春 山本高分子
死に変る白鳥やあゝ赤い花 佐々木貴子
「船団」(代表:坪内稔典)第109号(2016年6月)から。
特集は「生誕300年の蕪村」。
鬼は外茶巾百合こそ鬼となれ 鳥居真里子
こほろぎや甥の手紙の鏡文字 秋月祐一
グーグルは何て言ってた去年今年 若林武史
逆三角の孤独を連れてかまきりは 山本直一
抱き枕抱えて少女神の旅 わたなべじゅんこ
落梅を拾って嗅いで捨てて帰る 池田澄子
ウンベルトエーコと鯨の死亡記事 桐木榮子
ローソンもマクドナルドも春の雨 羽田英晴
「堊」(発行:高石直幸)2016年6月号から。
夭折の友少なくて合歓の花 高石直幸
初蝶の見えては消ゆる通学路 鈴木実千代(特別作品)
蕗の雨母は一夜で百才に 山村恵子
三月の座敷に届く日差あり 高木伊都子
「麻」(編集:松浦敬親、発行:嶋田麻紀)2016年5月号から。
螢いか皿ごと濡れて売られけり 嶋田麻紀
チョコレートに酔うて二月のをとこかな 井口あやこ
シートベルトかちっとバレンタインの日 坂内時子
鳥交る手毬のごとくころころと 清水静子
「麻」(編集:松浦敬親、発行:嶋田麻紀)2016年4月号から。
朽舟の底突き抜けて蘆の角 嶋田麻紀
鷹鳩と化すうしろ手のキス人形 松浦敬親
アクセルを踏み込む先に初筑波 平野鍈哉
父はまだ此世を恋ふか蝶の昼 花森こま(客員同人)
「鷹」(発行:小川軽舟)2016年6月号から。
夜具抜けてつめたき廊下春めきぬ 小川軽舟
桃の花牛乳瓶に素直なり
飛花落花友はあらかた天上に 星野石雀
門限の月の高さや卒業期 細谷ふみを
時間濃し椿活けある一隅は 奥坂まや
頬伝ふイヤホンコード蝶の昼 黒澤あき緒
にんにくの芽に大陸の風きたる 竹岡一郎
りすのこぼす鎌倉殿の椿かな 濱田ふゆ
「青群」(発行:伊丹啓子、編集:伊丹啓子・小嶋良之・政成一行)第40号(2016年夏)から。
水天はさくら卍の 千鳥ヶ淵 伊丹三樹彦(顧問作品)
名曲茶房でのシュトラウス 花疲れ
棺桶をネット検索 還暦来る 鈴木啓造
戻れぬ三陸 新成人の春ショール 堀部節子
ドリアンを買いしことあり メコン川 増田治子
鈍器のように鰹節並べ 昭和の店 伊丹啓子
花の奥 二條の滝の木霊する 矢内りんどう
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