『五風十雨』は須原和男(1938 - )の第5句集。
作者は「貂」所属。
群青の山へひらきぬ春障子
春風にしては白髪にきびしけれ
素足にはまだつめたくて雛(ひひな)の間
方丈のぞつと青みて春の雷
擂子木のやうな山葵を天城より
白足袋の人に運ばれ夏料理
江戸風鈴鳴るは珊瑚の鳴るやうに
三伏をしのぎ切つたる鬼瓦
掬はれて夜風に触るゝ金魚かな
飛白(かすり)めく裾をひろげて夜の瀧
砂を踏み貝を踏んでは踊るなり
太々と天から綱や秋出水
手毬ともしたき鴛鴦なりしかな
東日本大震災後四年
はらつてもはらつても煤みちのくの
オリオンが天にさすらふ去年今年
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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