このところ遠出続きで疲れやすいせいか(明日は明日で名古屋で「円座」シンポジウムである)、肝心の送っていただけている結社誌・同人誌等に目を通すのが間に合わなくなってきて、ここも何のブログやらわからなくなってきた。単行本の句集などは寝ながら読めるのだが、雑誌類を寝床に持ちこむ習慣がないのが敗因か。
梶山季之『一匹狼の唄(上)』角川文庫・1981年
《アメリカに留学していて、5年ぶりに帰国した北川健吉は、帰国早々、父親から結婚命令が出た。候補者もすでに3人に絞ってあるという。しかも、アメリカでニグロの女を抱かなかった罰に、臨時見習工として工場で働けというのだった。
父の豪六は、再生パルプ全社を興し、財界から“再生王”、社員からは“ガマ”と渾名され、妾も幾人かいるという、とにかく型やぶりで強引な男だ。
健吉は、すぐに結婚する気はないのだが、父親の命令どおり工員の作業服を着て、3人の花嫁候補者とデイトしてやろうと悪戯を思いたった……。
女に滅法強く正義感に燃えるアメリカ帰りの快男児! 長編痛快小説の傑作。》
梶山季之『一匹狼の唄(下)』角川文庫・1981年
《健吉は、留学中に同棲したことのあるトーレス夫人の来日に辟易していた。なにしろ、37歳になるこの未亡人は、健吉のことが忘れられず、日本で一緒に暮らしたいというのだ。彼はこのところ、女遊びになに不自由ない暮しぶりだったから、なおさら天変だった。しかも、父親の豪六は脳溢血で倒れているし、悪徳代議士の銀光康が高利貸と組んで、選挙資金に利用するため「再生パルプ」の株を不当に操作しているようだ。さらに悪辣な彼らは、東北の老舗の造り酒屋〈紅三点〉の乗っ取りを計画しているのだ。
一匹狼の健吉は、悪名高い高利貸の“奇妙な性癖”の弱みをネタに、猛反撃をはじめた。胸のすくような長編痛快小説の最高傑作。》
あすま理彩『男子高校生新婚物語2~同棲編~』B‐PRINCE文庫・2009年
《「俺が先生を一生守る」美貌の高校教師・筑波は、かつての教え子の大学生・湯沢に猛アタックされ、ただいまラブラブ同棲中!…のはずが、不器用で意地っ張りな筑波は、湯沢の直球な愛に素直になれなくて擦れ違う毎日。その上、同棲してからの湯沢はエッチばかり求めてきて、筑波の悩みは増す一方!そんな矢先、赴任先の理事長に狙われてしまった筑波に湯沢は!?年下攻の新婚あまあまラブ第二弾。》(「BOOK」データベースより)
大藪春彦『東名高速に死す』角川文庫・1982年
《西城秀夫、三十五歳。シャープな顔に鋭い目、揉み上げを長くのばして一見高級ヤクザといった風貌。が、服の下に隠れているのは邪悪なまでに猛々しい筋肉…‥・。彼は主に東名高速沿路の都市に触手をのばす広域暴力団を扱う秘密捜査官だ。
利権をめぐって手段を選ばずに膨張する黒い組織を相手に、スーパー・ガイ西城秀夫が単身熟き闘いを繰り広げる……。
大藪春彦が東名ハイウェーを舞台に繰り広げる、痛快アクションの白眉。》
森本あき『深窓の令息を略奪結婚!?』ラヴァーズ文庫・2008年
《『死が二人を分かつまで。ずっと相手を愛し続ける。それが結婚…』世間知らずの箱入り息子、福永英樹の素敵な結婚像は、見合い相手の凛々しい“男”を前に、もろく崩れていった。「男同士で結婚なんてあり得ない!!」親へ抗議する英樹をよそに、話は婚前の同棲生活に。「この一週間の同棲で僕の事を気に入らなければ、結婚を断ればいい」。男同士を不思議と思っていないのか、そう言う謎の見合い相手、平塚淳宏の神秘的なオーラに魅了され、つい頷いてしまった英樹だが、同棲には当然、恥ずかしい「夫婦生活」も含まれていて…!!》
ピエール・クロソウスキー『バフォメット』ペヨトル工房・1980年
《『バフォメット』は題材として中世のキリスト教異端を扱っているが、だからといって、これを歴史小説だなどど思ったらとんでもない間違いであろう。クロソウスキーは形而上学的ポルノグラフィーを書くために、舞台を中世異端の城中に設定したとおぼしい。神学論争のあいだに、怪獣にまたがって登場する美少年だの、昆虫に変身する霊だのといった、アレゴリカルな奇怪なイメージがあらわれて、この小説を多彩な幻想絵巻たらしめている点も見のがせない。難解ではあるが、これは挑戦する価値のある難解さであろう。――澁澤龍彦》
サルバドル・ダリ『隠された顔』二見書房・1980年
《なぜこの小説を書いたか?
第一の理由。わたしには何でも好きなことができる時間があり、また、それが書きたかったから。
第二の理由。現代史が、人間の壮大な情念の発展と相克とを扱う小説に、またとない骨組みを提供してくれるから。また、戦争物語、そして特に戦後の悲痛な一時期の物語は、是が非でも書かれねばならなかったから。
第三の理由。
もしわたしが書かなかったら、別人がわたしの代りに書いていただろう(しかも、ひどい愚作を!)から。
第四の理由。
歴史を“模写”するよりも、それに直接参加し、その歴史に、われわれが創造したものをできるだけ忠実に模倣させようとこころみるほうがおもしろいから。》
エリアス・カネッティ『群衆と権力(上)』法政大学出版局・1971年
《あらゆる群衆と権力の位相・相貌を鮮烈なイメージにまとめ、支配のダイナミズムを究明する。上巻は、群衆、群れと宗教、歴史における群衆、生きのこる者、ほか。》
エリアス・カネッティ『群衆と権力(下)』法政大学出版局・1971年
《あらゆる群衆と権力の位相・相貌を鮮烈なイメージにまとめ、支配のダイナミズムを究明する。上巻は、群衆、群れと宗教、歴史における群衆、生きのこる者、ほか。》
ジッド『狭き門』新潮文庫・1954年
《早く父を失ったジェロームは少年時代から夏を叔父のもとで過すが、そこで従姉のアリサを知り密かな愛を覚える。しかし、母親の不倫等の不幸な環境のために天上の愛を求めて生きるアリサは、ジェロームヘの思慕を絶ち切れず彼を愛しながらも、地上的な愛を拒み人知れず死んでゆく。残された日記には、彼を思う気持と“狭き門”を通って神へ進む戦いとの苦悩が記されていた……。》
フォークナー『八月の光』新潮文庫・1967年
《臨月の田舎娘リーナ・グローヴが自分を置去りにした男を求めてやってきた南部の町ジェフアスン。そこでは白い肌の中に黒い血が流れているという噂の中で育ち、「自分が何者かわからぬ」悲劇を生きた男ショー・クリスマスがリンチを受けて殺される一素朴で健康な娘と、南部の因習と偏見に反逆して自滅する男を交互に描き、現代における人間の疎外と孤立を扱った象徴的な作品である。》
ジョン・アップダイク『走れウサギ(上)』白水Uブックス・1984年
《高校時代には《ウサギ》と異名をとったバスケットボールの花形選手であったハリーもいまは勤勉なサラリーマンである。だが家事を顧みない妻との空虚な生活には耐えられなかった。ある夜衝動的に深夜の街へとび出す……現代アメリカの内部にある生の姿に挑戦するものとして絶賛を博した作品。》
ジョン・アップダイク『走れウサギ(下)』白水Uブックス・1984年
《高校時代には《ウサギ》と異名をとったバスケットボールの花形選手であったハリーもいまは勤勉なサラリーマンである。だが家事を顧みない妻との空虚な生活には耐えられなかった。ある夜衝動的に深夜の街へとび出す……現代アメリカの内部にある生の姿に挑戦するものとして絶賛を博した作品。》
眉村卓『地獄の才能』秋元文庫・1975年
《笹岡中学に進学した、宮原俊治、森順平、小田中明子のクラスに、一人の少年が入ってきた。みんなより入学が一週間おくれたその少年の名は富士見和男。ところが勉強がおくれているはずの彼は、授業が始まるや、中学生のレベルをけるかに越えた質問をするのだった。体育を含めたあらゆる教科に、天才ぶりを発揮するのだった。》
眉村卓『二十四時間の侵入者』秋元文庫・1974年
《中学校のクラスメート、住野隆一と小沢未代子の二人は、突然ふしぎな少年に襲われた。
その少年は教室にまで現われるのだった。そして、隆一のおじでSF作家の岡本義肋も事件にまき込まれた………。》
収録作品=二十四時間の侵入者/闇からきた少女
眉村卓『深夜放送のハプニング』秋元文庫・1977年
《イラストレーターの島浦紀久夫は、ラジオ昭和の深夜放送番組“ミッドナイト・ジャンプ”のDJをやっている。ある日のこと彼は、奇妙なリクエスト・カードを受け取った。それには、
「ぼくがだれだか、教えてください。ぼくには、自分がだれとか、わからないのです。ぼくは、自分が何歳で、何を
していたのか、まったく知りません。………」と書かれてあった。このカードを放送で流したことから、色々な事件が起ってくる………。》
収録作品=深夜放送のハプニング/闇からのゆうわく
眉村卓『天才はつくられる』秋元文庫・1974年
《松山史郎は偶然「学習教程」という謎の本を見つけた。
それは超能力者になる教科書だった。》
収録作品=天才はつくられる/ぼくは呼ばない
P・D・ジェイムズ『わが職業は死』ハヤカワ文庫・2002年
《犯罪の科学捜査を行なうホガッツ研究所で深夜、所長代理のロリマーが殺された。現場は厳重に戸締まりされており、外部から侵入した形跡は見当たらない。冷徹で高慢な被害者は所内の嫌われ者で、誰からも反感を買っていた。多すぎる動機、密室の謎……ダルグリッシユ警視長は周到な尋問と鋭い推理で、犯罪捜査のエキスパートたちの問に生じた殺人事件の複雑な糸を解きほぐしていく。現代ミステリ界の女王が放つ本格傑作。》
田中光二『死はわが職業』角川文庫・1979年
《私は客から依頼を受けたら、彼の身代わりとして忠実に仕事を成し遂げ、莫大な報酬を受けとる。それで二人の関係は終わりだ。
私の商売は“殺され屋”――他人になり代わってその人間の死の瞬間を請け負い、その存在の消滅――表向きのだが――を演出してやるのが仕事だ。今度の依頼は或るシンジケートのドンからだ。彼は何かの失策で、最高幹部会議から暗殺の指令が出されている。すでに殺し屋がこちらに向かっているそうだ。また派手に殺されてこの仕事ともオサラバだ。
俊英田中光二が描く近未来の暗黒の世界。他に二篇を収録した傑作集。》
収録作品=死はわが職業/死がわれらを分つまで/死の谷にバラは咲く
マルグリット・ユルスナル『ハドリアヌス帝の回想』白水社・1964年
《旅とギリシア、芸術と美少年を偏愛したローマ五賢帝の一人ハドリアヌス。命の終焉でその稀有な生涯が内側から生きて語られる、「ひとつの夢による肖像」。著者円熟期の最高傑作。 病を自覚し、みずからの治世と命の終焉が遠からぬことをわきまえたひとりの偉大な政治家が正式な皇位継承者への書簡の形を借りた独白に内側からついていけばそれでよく、一度あわせた周波は最後までとぎれることなく読者を導いてゆく。読み返すたびに、私たちはローマ辺境の茫々たる戦地にたたずんで夜風に吹かれるこの皇帝の後ろ姿を想って、ため息をつく 》
大槻はぢめ『恋のお味はモンブラン』ガッシュ文庫・2011年
《親の会社が倒産し、セレブな高校に通えず、大好きなケーキも食べられなくなった陸は、転校初日、保健室で不良にいきなり「お前、オレの『オンナ』になれ」と言われ、初キッスを奪われた。野蛮なヤツ!と憤るも、その不良・鷹岡は陸の大大大好きなケーキ屋の息子かもしれない…?ケーキは好きだけど、鷹岡は大っ嫌い。そんな陸の気持ちとはウラハラに、チューされたりぎゅってされたりするたび、カラダとアタマはぽぅ~っとしてしまい…。》(「BOOK」データベースより)
森山侑紀『世界で一番可愛いあの子』講談社X文庫・2007年
《「和也、君を僕の妻に迎える。君は誰よりも幸せな妻だ」世界で一番不思議な高校生・水野和也は、母方に脈々と受け継がれた特殊な能力により、男子高校生でありながら、ときに美少女に変身することがある。そしてまた、小田切真澄という男の婚約者がいたりもする。男同士で結婚なんかできるものか!!そう叫んでいた和也だが、ある日、とんでもない変化が身体に現れてしまう。愛が呼ぶのは嵐か、それとも…。》(「BOOK」データベースより)
ジッド『背徳者』新潮文庫・1954年
《ジッドがアフリカに旅して病気になり、回復後に生命の喜びを見出した当時の魂のありさまを、告白的に小説として描いたもの。一考古学者がアフリカに新婚旅行に出かける途中大病にたおれて、一時は死に瀕するが、ようやく回復期に至ったとき、生きる喜びを知り、彼の心に一大革命が起る。既成のモラルや組織に安住できぬ魂の苦悩を綴った、ジッド最初の物語作品。一九〇二年作。》
石川淳『諸國畸人傳』中公文庫・1976年
《都〃一の始祖都〃一坊扇歌、松江の指物師小林如泥、北越雪譜の著者鈴本牧之、坂口安吾の実父阪口五峰など、江戸末期から明治にかけて生きた畸人十人を取り上げ、人間本来の姿で生を貫いたその生涯を描く。》
犬養道子『マーチン街日記』中公文庫・1979年
《1964年、母校のハーヴァード大学に研究員としてもどった著者は、美しく、そしてきびしいニュー・イングランドの自然のなかで、友人との対話をつうじて、「巨象アメリカ」の姿をさぐりつづける。》
若月京子『世継ぎの王子に愛されて』プリズム文庫・2015年
《姉と第二王子の結婚式のために、王家の城に滞在することになったアリステア。そこで出会ったのは、王位継承権第一位のブラッドリー王子だ。銀色の髪とアイスブルーの瞳をしたあまりにも整った容姿の彼を見て、まるで恋に落ちたようにアリステアの胸はドキドキする。でも、自分も彼も男だし、彼はいずれ王子になる人物だ。そう考え、自分の気持ちを否定しようとするけれど…。》(「BOOK」データベースより)
澁澤龍彦『澁澤龍彦 日本芸術論集成』河出文庫・2009年
《地獄絵や浮世絵、仏教建築などの古典美術から、現代美術の池田満寿夫や日本画の加山又造、人形の四谷シモン、舞踏の土方巽、状況劇場の唐十郎など、日本の芸術について澁澤が書いたエッセイをすべて収録した集成。「おのれの城に閉じこもり、小さな壁の孔から、自分だけの光輝く現実を眺めている、徹底的に反時代的な画家」だけに興味を抱いた著者の世界観をたどる。》(「BOOK」データベースより)
水戸泉『君臨せよ』B-BOY NOVELS・2006年
《「君が私のすべてだ」鋭い瞳の不敵な海賊レイノルズと、彼に熱愛される白皙の元海軍中尉ルーク。洋上で甘く穏やかな日々を送っていた矢先、レイノルズがしばらく海賊船を降りるという…ルークの不安は的中し、レイノルズはなんと海賊の敵・海軍提督の姿で現れ!?海賊の掟を破ったレイノルズ、さらに帝国を揺るがす巨大な陰謀の前に、ルークの愛は海賊に届くの!?大ヒット海賊ラブ。オール書き下ろし&愛あるエッチ満載で堂々完結。》(「BOOK」データベースより)
渡海奈穂『可愛い弟のつくりかた』プラチナ文庫・2014年
《義兄の万貴は眉目秀麗、文武両道でまさに完璧。洸は万貴に少しでも近づきたくて、彼が通った高校で彼が務めたテニス部の部長と生徒会長を務めている。一生懸命な洸を、万貴は笑顔で見守ってくれる。なのに万貴が親友を家に招く度、“俺の”お兄ちゃんなのにと、洸の嫉妬心と独占欲は募っていく。そんな時、今まで知ることのなかった、万貴の酷くて甘い本音を知って…!?》(「BOOK」データベースより)
木崎ちあき『武神男子~二郎くんの無問題な厄日~』ビーズログ文庫アリス・2015年
《「私を、また貴方の犬にしてください!」おかしな男に衝撃発言をかまされた二郎。危ない奴、とスルーしたものの更なる災難が!!謎の美形道士・賢利にハメられて、妖しい仕事を押し付けられてしまったのだ。そこに先ほどの男が乱入!追いかけてきたという彼は哮天犬と名乗り、「貴方様の犬野郎でございます!」と手伝う気満々で…??傍若無人な漢たちに囲まれた、二郎の命運やいかに!?》(「BOOK」データベースより)
伊郷ルウ『イタリア貴族の愛に溺れる花嫁』セシル文庫・2012年
《家業を手伝いながら新しい和服の制作に取り組んでいる老舗呉服店の次男坊・颯世は、ある日、呉服展示会にやってきたイタリア人に目を奪われる。ゴージャスな美貌の彼は貴族でかなりの富豪らしい。スマートな態度で高額な振袖の購入を即座に決めたが、なんと颯世にイタリアに持参して欲しいと言う。戸惑いながらも彼の城に滞在することになった颯世だったが、強引に口説かれるようになり…。》(「BOOK」データベースより)
森本あき『カリスマモデルと秘密の恋人』プリズム文庫・2009年
《トップモデルのケイと、マネージャーの和之は高校時代から10年の付き合い。『デキてる』と、業界内で噂されるほどいつも一緒の2人は、同居してセックスもする関係。…でも、「冴えないみそっかすなメガネ」と容姿に自信のない和之は、そのうちケイに飽きられて捨てられるんじゃないかと毎日びくびくしている。そんなある日の撮影現場に、ケイが蛇蝎のごとく嫌っている、人気モデルの清紘が突然現れて―。》(「BOOK」データベースより)
水島忍『若君のムリヤリ婚約者』白泉社花丸文庫・2001年
《16歳の小沢有斗は元華族の紫城家で執事を務める祖父に育てられ、同い年の貴彦様に仕える毎日。この若君は背も高く容姿端麗だが、華奢で少女のような使用人の有斗には傲慢でわがまま放題。17歳の誕生日が近付いた貴彦様は、屋敷の盛大なパーティーで良家の令嬢の中から婚約者を選ぶことに。不満そうな若君は、ある時有斗を風呂場に誘いだして…。》(「BOOK」データベースより)
E・H・カー『ロシア革命―レーニンからスターリンへ、1917‐1929年』岩波現代文庫・2000年
《著者が30年余の歳月を費やして完成した『ソヴェト・ロシア史』四部作は、革命からスターリン体制の成立までを分析した第一級の専門的著作である。本書はこの研究成果に基づき一般読者のために新しく書き下ろしたもので、1920年代をレーニンのロシア革命からスターリンのロシア革命への転換ととらえることにより、革命の変貌する過程を解明する。》(「BOOK」データベースより)
佐野洋『口紅と犯罪』角川文庫・1985年
《『犯罪の陰に女あり』。犯人として、あるいは被害者として、事件の裏側で苦悶する女たち。激情、欲望、怒り、叫び、涙、貧困、無知。人生のカーブを曲りそこねた女たちの事件を、推理作家の鋭利な目が、分析解剖、奥深く潜んだ心の核を探り出す。犯罪に巻き込まれる弱き者たちの、優しさに光を当てる会心のエッセイ。
カチッ、歯車がちょっとずれれば、あなたも渦中。これは現実の事件です。》
阿佐田哲也『牌の魔術師』角川文庫・1980年
《昭和二十年代、巷では、小市民的生活を嫌悪し、自らアウトローの群に身を投じた化け物みたいなプロのイカサマ師たちがゴロゴロしていた。彼らは自分の技を研磨し、互の技を競いあい、互につぶしあいながら、凄惨な闘いを、繰り広げていた。
“二の二の天和”を得意とする大柴久作。エレベーターと呼ばれる牌の握り込みの名手、ベタ六。ガン牌の名人、ヤクの善ちゃん。大阪でブーの鬼と恐れられた大九郎。彼らは自ら得意とする技を駆使し、あるいはコンビ技の通し、三色爆弾というつめ込み、切り返しなどを織り混ぜながら、相手を徹底的に如き潰すまで闘い続ける。「麻雀放浪記」の坊や哲に新たに彼ら牌の魔術師達を加え、麻雀の酸醐昧、面白さを徹底的に追求したギャンブル小説。》
長尾真・遠藤薫・吉見俊哉編『書物と映像の未来―グーグル化する世界の知の課題とは』岩波書店・2010年
《グーグル・ブックス、電子書籍、ユーチューブ…。情報環境が激変するなか、学術書を含めた書籍や映画、ドキュメンタリー映像等のメディア文化財をいかに保存し、継承していくか。市場原理とは異なる視点に立ったそれらの利活用とは具体的にどのようなものか。国立国会図書館長の長尾真氏、東京国立近代美術館フィルムセンター主幹/国際フィルム・アーカイブ連盟会長の岡島尚志氏、NHK放送総局ライツ・アーカイブスセンター長の大路幹生氏をはじめ、書物と映像をめぐる現場・研究を先導する論者たちの発言。》(「BOOK」データベースより)
吉村仁『強い者は生き残れない―環境から考える新しい進化論』新潮選書・2009年
《約40億年という生物史を振り返ると、生き残っているのは「強い者」ではなかった。ダーウィンの進化論にはなかった、「環境は変動し続けるもの」という斬新な切り口から、「協力行動」という生命の生き残り戦略に注目する。終章では自由市場主義の瑕疵まで論及。ダーウィン進化論にはじまり、総合学説に発展した現代進化論に、いま「環境変動説」が加わる。》(「BOOK」データベースより)
宇野邦一『〈兆候〉の哲学―思想のモチーフ26』青土社・2015年
《AからZ、それぞれのアルファベットからはじまる単純な意味しかもたない言葉たち。しかしその言葉は「兆候」を発して、わたしたちを誘っている。ドゥルーズの薫陶を受けた哲学者が、回想でも思索でも批評でもない営為から、めくるめく世界を26のモチーフで描き出す。》(「BOOK」データベースより)
権田萬治『謎と恐怖の楽園で―ミステリー批評55年』光文社・2015年
《日本ミステリーの過去、現在、未来を一望。作家論、作品論、対談、論争―ミステリー評論の重鎮が放つ半世紀を超える批評活動の集大成! 》(「BOOK」データベースより)
高橋ナツコ/原作:馬谷くらり『美男高校地球防衛部 LOVE! NOVEL!』ぽにきゅんBOOKS・2015年
《2015年1月より放送「美男高校地球防衛部LOVE」が早くもノベル化。防衛部メンバーの魅力が満載です。アニメの指南書としても活用できるスペシャルノベル!!
箱根有基、由布院煙、鬼怒川熱史、鳴子硫黄、蔵王立…。
アニメでは描かれなかった彼らの日常を小説化!もう防衛部解散!?
テーマは「愛!」、「いろんな愛の形!」を
本作メイン脚本家、高橋ナツコが書き下ろします。》
永田和宏『歌集 黄金分割』沖積舎・1977年
吉行淳之介『子供の領分』角川文庫・1979年
《吉行ランド、ともいうべき醇乎たる文学世界のなかに、神秘で透明な輝きをひめた一つのジャンルがある。
表題作「子供の領分」をはじめ、火山の島と海辺の温泉地で、父と未知の若い女と共に過ごした小学生一郎の「夏の休暇」、Q市での高校入学試験前後を扱った「暗い半分」、中学生の時のチフス隔離病室での日々と父の急死の経験を見事に昇華させた「梅雨の頃」、名品「童謡」、病める祖母の思い出を語った「崖下の家」や、幼少時の遊びや友情などを印象深く描いた短篇。
童話とその周辺の少年小説十篇を収録した珠玉のアンソロジー。》
収録作品=夏の休暇/暗い半分/梅雨の頃/斜面の少年/崖下の家/童謡/子供の領分/西瓜を持つ女/窓の中/春の声
田中光二『アッシュと母なる惑星―アッシュ・サーガ3』講談社文庫・1984年
《若き不死身の宇宙戦士アッシュは、凶暴なネヘミア王国に滅ぼされた同胞ローマナ一族の恨みをはらすべく故郷のミロシス星へと飛ぶ。だが、世にも美しい妖姫バビロナ、極悪非道のスリマン王と彼を守る恐るべき魔道師らの罠が待っていた……。構想も新たに、重厚華麗な宇宙冒険小説の待望の書下ろし長編成る!》
星新一『安全のカード』新潮文庫・1987年
《休日に青年の部屋をおとずれたセールスマン。その男がカバンからとりだしたのは、名刺くらいの大きさの金属製のカードだった。なんとこのカード、絶対的な安全を保障するという不思議なカードだった……。
平凡に過ぎてゆく日々。何となくつまらない毎日。そんな時、ショートショートの扉を開いてみませんか。表題作をはじめ、悪夢とロマンの交錯する奇妙な味の16の物語を収録。》
収録作品=頭痛/親友のたのみ/過去の人生/人員配置/めぐまれた人生/出勤/会員になって/幸運な占い師/雷鳴/安全のカード/あの女/ポケットのなかに/業務命令/問題の部屋/メモ/声が……
クロード・モーリアック『忘却』集英社・1968年
《「殺されたのは 記憶だった……」非文学の旗手が“小説における時間”に新境地を開いた問題作、本邦初訳》
《これは、一種風変りな探偵小説である。
時は、一九六六年八月四日から五日夜にかけて、追求されるのは、“思い出”、探偵は読者自身である。
主人公の小説家・ニコラがある夜、パーティで再会した美しい女性の追憶を辿り始めるのを発端に、物語は、モンテーニュからユーゴ、モーリス・ルブランを経てプルーストに至り、さらにベケットやピュトールまでも巻き込んで、常に謎めいた雰囲気を漂わせながら最後の一行まで一気に読ませる奇妙な魅力にみちている。「あらゆる女は妖婦である」(集英社版・世界文学全集第24巻所収)の著者が、華麗な技法を駆使して永遠の命題・小説における“時”に鋭く切りこんだ世紀後半随一の話題作!》
金坂理衣子『漫画家が恋する理由』ディアプラス文庫・2014年
《光希はアシスタント先の漫画家、大沢孝史に密かに恋心を寄せていた。けれど孝史は超のつく女好き。だから生活力0の彼の世話をできるだけで幸せだと思っていたのに、ある日うっかり告白してふられてしまう。すぐには諦められず、気持ちを整理しつつ仕事を続けていた光希だが、人気漫画家の茜真琴が実はゲイで、光希に興味を持っているので会ってほしいと頼まれ…?女好き漫画家×ダメ好きアシスタントの恋。》(「BOOK」データベースより)
最近のコメント