今月は締切作業が多かったわりには冊数だけはそれなりに読んでいる。疲れて起き出していられず、茫漠と横になっていた時間がそれだけ長かったわけで、『ふらんす堂通信』の資料に読み始めたBLものばかりがどんどん増えていく。
装幀の懐かしさで買ったのは井上光晴、勝目梓、半村良、土屋隆夫、土師清二など。
長尾天編訳『語るタンギー』水声社・2016年
《シュルレアリスムの画家としては珍しく理論的テクストを書かなかったイヴ・タンギー。わずかな資料に残された彼の声は、何を語り、何を語らないのか。アンケート・インタビュー・書簡を網羅した、寡黙な画家のテクスト集成。》(「BOOK」データベースより)
柏木博監修『近代デザイン史』武蔵野美術大学出版局・2006年
《歴史的・思想的視座に立ちデザイン史の変遷を辿り、現在を問う。画期的な近代デザイン論が登場。》(「BOOK」データベースより)
松岡裕太『泣けるほど幸せなオシオキッ!』ガッシュ文庫・2011年
《「僕はメイドだから…性的な奉仕をする覚悟です」もとお坊ちゃんで、今は親の残した借金のために働いている大河は、幼なじみでクラスメイトの幸路の家でメイドをすることになった! 幸路は幼稚舎で出会った時から大河のことが大好きと言って憚らない男。大河にとっては、大切な友人だが、「恋人」とは考えられないっ!! でもメイドになったからには、ご奉仕と称してエッチなことさせられる…!と覚悟して行く大河だが…!? ツンデレメイドに貞操帯・つけ耳&しっぽ――愛あるお仕置き❤》
森本あき『御曹司と政略結婚!?』ラヴァーズ文庫・2007年
《「男の花嫁か。それも悪くない」それまで普通のサラリーマンだった里見海音の人生は、姉のお見合いを断るために訪れた会場で、大きく変わってしまった。見合い相手の若山宇一は、容姿端麗でお金持ち。両親は、倒産しかけた工場のために、姉のお見合いをセッティングしたのだ。しかし、海音は予想外にも宇一に気に入られ、「結婚相手はお前でいい」と言われてしまう。両親の工場のため、断りきれず、見合い騒動に巻き込まれた海音には、若山家に「花嫁」と認められるまで、恥ずかしいノルマがいっぱいで……!!》
あすか『魔導師と約束の花嫁』白泉社花丸文庫・2010年
《大学生の越畑樹澄は父を亡くし叔父の家に引き取られて暮らしていたが、夜な夜なエッチな夢を見るようになりなんだか居辛くなっていた。そんなところへ、小さい頃に姿を消した母方の祖父が最近他界し、孫の樹澄に生前共同経営していた輸入雑貨店の権利を相続させるという遺言があったことを知らされる。どんな店かと訪ねて行けば、シルバーブロンドの長髪で青い瞳の冷たく綺麗な男にいきなりヘンなことをされて…!? バーナードと名乗るその共同経営者は、実は魔導師で祖父の師匠だと聞かされる…!?》
ノルベルト・フライ『1968年―反乱のグローバリズム』みすず書房・2012年
《なぜ学生が、ほぼ世界同時に、反乱を起こしたのか?フランス、アメリカ、ドイツ初め日本を含む各国の詳細な分析を通し「1968」を世界史の中に位置づけた快作。》(「BOOK」データベースより)
河鐘基『ドローンの衝撃』扶桑社新書・2015年
《イノベーションか、それとも凶器か?国内外の活用例・法規制から飛行のしくみまで。国産ドローンとドローン特区も徹底解説。》(「BOOK」データベースより)
神奈木智『その指だけが知っている』キャラ文庫・2001年
《高校二年生の渉の学校では、ただいま指輪が大流行中。特に、恋人用のペアリングは一番のステイタス。ところがなんと、渉の愛用の指輪が、学園一の優等生とお揃いだった!? 指輪の取り違えをきっかけに、渉は彼・架月裕壱と急接近!! 頭脳明晰で人望も厚く、凛とした涼やかな美貌――と三拍子揃った男前は、実は噂と正反対。口は悪いし、意地悪だし、なぜか渉には冷たくて…!?》
橋爪大三郎・大澤真幸『ふしぎなキリスト教』講談社現代新書・2011年
《日本人の神様とGODは何が違うか?起源からイエスの謎、近代社会への影響まですべての疑問に答える最強の入門書。挑発的な質問と明快な答え、日本を代表する二人の社会学者が徹底対論。》(「BOOK」データベースより)
プラトン『ソクラテスの弁明ほか』中公クラシックス・2002年
《前399年ソクラテスの刑死事件からプラトンの著作活動が始まった。師を弁明するための真剣な営為、それが哲学誕生の歴史的瞬間だった。対話篇の迫力を香気ゆたかに伝える名訳。》
ケビン・R・コザー『ウイスキーの歴史』原書房・2015年
《ウイスキーは酒であると同時に、政治であり、経済であり、文化である。起源や造り方についてはもちろん、厳しい取り締まりや戦争などの危機を何度もはねとばし、誇り高い文化にまでなった奇跡の飲み物の歴史を描く。図版多数。料理とワインについての良書を選定するアンドレ・シモン賞特別賞を受賞した人気シリーズ。》(「BOOK」データベースより)
松井孝典『探査機でここまでわかった太陽系―惑星探査機とその成果』技術評論社・2011年
《太陽系はどのようにしてできたのか、地球以外の惑星はどのような環境を持ち、生命は存在するのか。数え切れない疑問を解くために、最先端技術を注入したさまざまな探査機が惑星に送り込まれてきた。月探査をはじめ火星、水星、木星、土星、金星など、惑星探査により明らかにされた最新の事実を取り上げる。》(「BOOK」データベースより)
ヒーロースーツ制作委員会『ヒーロースーツの作りかた』グラフィック社・2014年
《史上初!!ヒーロー業界のプロが結集!これまで永年、秘密にされてきた、本物のヒーロースーツ、バトルスーツ、着ぐるみの作りかたを公開、そして徹底的にレクチャーします。》(「BOOK」データベースより)
福永武彦『忘却の河』新潮文庫・1969年
《過去に子供まで宿させた女を自殺に追いやり、自己を愛の亡骸にすぎないと信じる藤代は、病床にある妻が死に向っている時にも愛を呼びおこすことができない。中年夫婦の共有する愛の挫折と、その娘たちの直面している愛の不在とを対照させ、藤代家の人々が、それぞれ自らの生を悩み、それを超えようとする姿を描く。宗教のない日本人の愛と孤独への救いを追究した密度の高い作品。》
佐藤百合『経済大国インドネシア―21世紀の成長条件』中公新書・2011年
《リーマンショック後の二〇〇九年秋、欧米の格付け会社が、インドネシアの持続的成長能力と財政的安定を評価し、国債の格付けを引き上げた。以来、インドネシアの有望性は世界が注目するところとなる。二億四〇〇〇万近い人口と豊富な資源を背景とした潜在的な国力は、二〇〇四年、ユドヨノ政権になって以降の政治的安定によって、さらに強固な成長要因となっている。中国、インドに続く“アジアの大国”のこれからを展望する。》(「BOOK」データベースより)
森本あき『いつも、きみのそばにいる~カエデ荘物語~』ダリア文庫・2007年
《大学生の窪田蒼空は春休みの間、世界一周旅行に出掛ける祖母の代わりに下宿屋・カエデ荘の管理人をすることに…。 蒼空は、そこで一風変わった住人達と暮らすことになったのだが、その中でも謎の多い人物、一号室の廣瀬大祐から毎朝キスをされ、しかもいやだと思うのに身体は素直に反応してしまい!? ひとつ屋根の下で繰り広げられるドキドキ、ラブロマンス❤シリーズ第1弾!》
森本あき『おいしいメイドの育て方』ダリア文庫・2011年
《借金苦で倒れた父に代わり、返済に励む元気で明るい湊は、突然押しかけて来たヤクザに父の命を盾にされ、1週間で1千万円返せと脅される。日給2百万円の住み込み家政婦の仕事を紹介され働き始めた湊だが、超美形だけど偏屈でいじわるなご主人様・信明に「おしおき」と称してえっちなことを強要されてしまい…!? 大量❤書き下ろしの番外編を収録した『メイドシリーズ』第1弾!!》
小林典雅『なぜあの方に恋したのかと聞かれたら…』白泉社花丸文庫・2010年
《むかしむかしあるところに……てか、ぶっちゃけ中世後期の欧州のとある王国の片田舎に、純真で敬虔な領主の末息子が住んでいました。そこへ一見黒ずくめの魔王、よくみると大天使のようなお顔の王宮からの使者がやってきて、「ぜひ王妃様の小姓になっていただけぬか」と申されました。領主一家はすっかり使者に丸め込まれ、末息子をホイホイ差し出してしまったのです! 末息子危うし、お役目と称してセクハラされ放題!? 変人ばかりの宮廷とんでもラブコメディ、始まり始まり~♪》
南原兼『誘って❤シャノワール』B‐PRINCE文庫・2008年
《全寄宿制のウィンダミア音楽院。『ウィンダミアの天使』と呼ばれるティモシーは、同室の素行の悪い上級生・オスカーに、音楽祭で使う猫耳を汚されてしまう。代わりにとオスカーに差し出された黒い猫耳をつけると、どうしようもなく身体が熱くなってしまった!!淫らな熱が身体の奥を濡らし、オスカーが与えてくれる、初めての悦楽を夢中で貪るティモシーだけど……❤ 話題作に大幅加筆で遂に単行本化! おにきゅんラブ❤》
吉成真由美[インタビュー・編]『知の逆転』NHK出版新書・2012年
《「二重らせん」構造を解明したワトソン、「普遍文法」を提唱し言語学に革命をもたらしたチョムスキー…限りなく真実を追い求め、学問の常識を逆転させた叡智6人。彼らはいま、人類の未来をどう予見しているのか。「科学に何ができる?」「人工知能の可能性は?」「情報社会のゆくえは?」―現代最高の知性が最も知りたいテーマについて語る興奮の書。》(「BOOK」データベースより)
あすま理彩『男子高校生新婚物語~先生と生徒の場合~』B‐PRINCE文庫・2008年
《「先生、一生、一緒にいようよ」 高校生とは思えない大人びた色気で、男女ともに学園人気No.1を争う湯沢。かつては札つきの問題児だった彼が、今は自分を更生してくれた美貌の化学教師・筑波と付き合うために、猛アタック中! 人付き合いがヘタで不器用な年上の先生、けれど本当は優しくて傷つきやすい人だと知ってるから、絶対に愛し守りたい! 年下攻&学校でH&新婚ごっこetc胸きゅん満載❤オール書き下ろし!!》
井上光晴『紙咲道生少年の記録』福武書店・1991年
《11歳の少年の性的犯罪は果して可能か。連続暴行殺人事件は現実に行われたのだ。世紀末の行きつく果てのセックスを徹底的に描写する前衛文学。表題作ほか、現代の底知れめ不安と孤独をめぐる5篇の秀作を収録。》(「BOOK」データベースより)
収録作品=紙咲道生少年の記録/立て、飢えたる者よ/点滴のための読書術/中将寺の男/くろかみ/火影
円地文子『傷ある翼』新潮文庫・1964年(谷崎潤一郎賞)
《戦争にのめり込んでゆく時代を舞台に、一子の母となった主人公・宗像滋子の打算的な結婚生活の不幸―粗野な夫への憎悪と軽蔑、先輩作家との逢瀬を続けながらも、離婚にも踏み切れない理性と情念の相剋を描く。夫婦とは、家庭とは、愛とは、性とは何かを追求し、「傷のある翼をもった鳥のように生きて、飛ぶことを願った」円地文学の内奥に迫る力作。谷崎賞受賞作『朱を奪うもの』三部作の第二部。》(「BOOK」データベースより)
うえだ真由『建設現場に恋の花』ディアプラス文庫・2014年
《監督として初めて派遣された建設現場で、尚人は職人たちとうまくいかず悩んでいた。名字の澤井から“サッちゃん”なんてあだ名までつけられ、完全に役立たずのお嬢さん扱い。そんな尚人に手を差し伸べてくれたのが、作業員の征司だった。征司は年下ながら実務経験は長く、彼のおかげで尚人は次第に皆に受け入れられていく。いつからか征司を目で追っている自分に気づき…? 現場に咲く年下攻ロマンス❤》
勝目梓『けもの道に罠を張れ―遊乱二郎殺しのファイル①』徳間文庫・1986年
《来日中のフランスの女流画家が、首都高速目黒ランプ付近で絞殺死体となって発見された。個展の企画者として検視に立ち会わされた美術商の遊乱二郎は、彼女が輪姦されていたと知るや、名状しがたい激情に襲われた。ソビエト兵に旧満州で強姦された日本人女から産み捨てられたという忌わしい出自を、それはいやでも記憶の闇から浮び上がらせるからだった。著者はじめてのシリーズ・スーパーヒーローの登場!》
勝目梓『聖女たちの館』徳間文庫・1984年
《新宿の古ビルの一室にセックスカウンセリングの看板を掲げるクリニックが開業。ドクターは日米の医大を卒業した槍田伊兵衛、今日も今日とて暇にまかせて、いずれ劣らぬ二人の美人看護婦を診察台にのせ、何やら妖しげな臨床研究に励んでいたところ、珍しく患者が訪れ、おずおずと「実は主人との性生活のことで……」と切り出したのだが……。感度バツグンの連作コミカル・エロチカ傑作集。》
収録作品=色に憑かれた女/柑橘系の女/とどかぬ女/洪水に悩む女/仮性不感症の女
荒巻義雄『超弦回廊 火星のアトランティス2』C・NOVELS・2008年
《私は誰なのか? 私はどこにいるのか? 超技術を駆使するメンフィスの母体、アンドロギュヌス・シンジケートから逃れ、逆にその懐に潜入するために、玉緒はついに火星へ到着。火星の現実を目の当たりにする。そこには超古代より時空を超えて現れた、王女ネフリティースら、懐かしい面々の顔がそろっていた! 彼女らとともに火星の深奥へ赴く玉緒。繰り広げられる様々な神秘体験の中、玉緒はついに自分自身の存在を疑うことに……。次元を超え、時空を超えるということは、いったい何を意味するのか。はたして現在は「いつ」なのか……。古代よりの超遺伝子を追い、人類はどこから来てどこに行きつくのか。壮大なる超時空を紡いできた物語。シリーズ完結編!》
ジャック・ラカン/ジャック=アラン・ミレール編『転移(上)』岩波書店・2015年
《一九六〇年に始まったこのセミネールでラカンは、精神分析の根幹現象である「転移」に本格的に足を踏み入れる。分析者と被分析者の二項関係に基づく「転移」理解を乗り越えんとするラカンの眼前に浮かび上がったのは、プラトン『饗宴』で描かれる「愛」であった。上巻では、古典作品の斬新な解釈を通じて、愛する者と愛される者の関係を欲望の乱反射として描き出す。ソクラテスは愛の何を知っていたのか?欲望と「知」をめぐるスリルに満ちたセミネール第八巻。》(「BOOK」データベースより)
ジャック・ラカン/ジャック=アラン・ミレール編『転移(下)』岩波書店・2015年
《あなたが誰かを愛するとき、そこで何が起こっているのか。精神分析の最重要概念「転移」の再解釈を通じて、愛と欲望の根底に迫る。ラカンのセミネール第8巻。》(「BOOK」データベースより)
半村良『男あそび』集英社文庫・1985年
《ひどく謎めいた女に成然した順子には、自分が必要とする時に男を呼び寄せ、意のままに操ることができる奇妙な力があった。順子はそれを〈浮気の超能力〉と呼んで、思うまま人生を愉しんでいたが、ふと、どこか虚しい気持に陥るようになって……。表題作「男あそび」他七篇。軽妙に描く大人の女と男の物語。
解説・森 瑤子》
収録作品=御存知美男燕/虫の知らせ/いそがしい旅/一見少女風/鹿の精/たのしい二日酔/博多の女/男あそび
半村良『戦士の岬』文春文庫・1979年
《原宿の街のすみっこに夢と希望と小さな野心でパンクしそうな若者たちがいて、ひょんなことからちょっとしたことを始めたら、あれよあれよという間にとんでもない事がつぎつぎに起きて――300年前に掘られた莫大な黄金に関する奇想天外な推理とアメリカ占領軍の陰謀を超歴史的なスケールで結びつけた青春伝奇ロマンの一大傑作》
阿刀田高『江戸禁断らいぶらりい』講談社文庫・1982年
《江戸時代は庶民文化の花ざかり。世界一短かいポルノグラフィである艶句、大胆な発想と緻密な文章技巧をこらした春本、人生の深奥を垣間みる小ばなし、いずれも江戸ならではの匂いにあふれる。それらの快作怪作をすくい上げ、人生観察の名手が縦横に品評、おもしろさを増幅させる―江戸ポルノ書譜。》
杉森久英『大谷光瑞(上)』中公文庫・1977年
《不断の進取の精神に終始した明活人の生涯。宗祖親鸞の血脈を受け継ぎ西本願寺第二十二世門主となった大谷光端は、英国留学ののち、わが国初の西域学術探検で多大の成果を収め、その海外飛躍の熱をますますたぎらせる……。》
杉森久英『大谷光瑞(下)』中公文庫・1977年
《西域探検をはじめ、豪壮な別邸建設、海外布教、学校経営、温室菜園造り等々、止まる所を知らぬ光端の旺盛な行動は、西本願寺に財政危機をもたらす。門主の地位を退いてなお、海外に求道しつづける不羈奔放の巨星の生涯。》
土屋隆夫『異説・軽井沢心中』角川文庫・1978年
《旧軽井沢の町並から北に向かって、落葉松林をまっすぐに突っ田る一本の細い道。その前方に木の間がくれに見える小高い丘が、日本近代文学の明星有島武郎終焉の地である。
美貌の人妻との心中で、当時、世間に鮮烈な衝撃を与えた有島の死は、文壇史上でも伝説的に語り継がれている。だが今、この事件が、巧妙に仕組まれた偽装心中ではないかという疑惑が生まれた。犯人と思われる男の、事件当夜の手記が発見されたのだ……。
美しい抒情に彩られた緻密な推理の構成。表題作ほか八篇を収録した土屋隆夫の傑作短編集。》
収録作品=淫らな証人/黒い虹/午前十時の女/媚薬の旅/しつこい自殺者/風にヒラヒラ物語/Xの被害者/異説・軽井沢心中/気まぐれな死体
土屋隆夫『傷だらけの街』角川文庫・1977年
《心地よさそうに電車の震動に身をまかせ、吊皮にぶらさがる中年男。そのポケットから部厚い皮財布がのぞいている。「五千円あれば……」若枝は、心の中でしきりに頭を待ち上げてくる誘惑に打ち勝とうとした。だが電車がとまり、乗客と共に車外に押し出された彼女の手には、いつのまにか皮財布がしっかり握りしめられていた。
その時、茫然と立ちつくす彼女の後で誰かが声をかけた。ふり返ると先程の男である。若枝は気が遠くなり、その場にくずおれた……。
出来心から恐ろしい殺人事件にまき込まれた娘を描く表題作ほか6篇収録。》
収録作品=傷だらけの街/変てこな葬列/推理の花道/どこまでも/ゆがんだ絵/愛する/重たい影
《天下の副将軍・水戸黄門! おなじみの水戸光圀の若き日をえがく時代小説の雄編!
徳川御三家のひとつ水戸家初代藩主は、大御所家康の第十一男に生まれた頼房であった。
水戸家の奥女中に上った谷左馬介の娘久子は、頼房の寵愛をうけ五年前には京の公郷滋野井中納言のもとで男子を生んだ。それが頼房の第一子竹丸(のちの讃州高松藩主松平頼重)であった。いまふたたび懐妊した久子は、水戸の家臣三木仁兵衛之次の屋敷で仁兵衛や妻牟佐の手厚い看護をうけて第二子千代松(のちの水戸光圀)を生んだ! 従三位右近衛中将光圀とその名も代わった十三歳の千代松は、将軍家光の命をうけた中山備前守信吉と向島の下屋敷で会った。信吉の目に千代松の英資は水戸家の世子にふさわしいものに写った!》
森本あき『きっと、最後の恋~社員寮は大騒ぎ~』ガッシュ文庫・2008年
《営業二課所属の偲は、同期入社でライバル視されていた営業一課のホープ・康晴に突然好きだと告白された。「友達から」と断ったつもりだったのに、康晴は強引に友達以上の関係を迫ってくるのだ。だけど康晴とするキスは気持ちよくて……。イヤなのに、なんか心がヘンなんだ。これって…恋?
大人気シリーズ待望の第二弾❤》
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。