あけましてめでとうございます。
冬場になってから病的に眠くて寝てばかりいるので、起きて座っていなければならない作業がほとんどできず、年賀状も一枚も書けないままになっていた(もともと頸椎が悪くて大量の手書き作業をやっていると気持ち悪くなってくるので、書くのは遅いのだが)。二日になった現在、ようやく少しずつ書き始めたところ。
清水一行『世襲企業』角川文庫・1982年
《昭和30年代の半ば、折からの高度成長経済による自動車の需要増大に伴い、各自動車会社は乗用車も大量に生産する綜合自動車メーカーヘの脱皮を迫られていた。
業界の後発メーカー大東自動車では、二代目のワンマン社長三沢辰雄の陣頭指揮のもと、軽四輪乗用車の販売に力を注ぐと共に、世界初のロータリー・エンジンの実用化を目指した。この開発に成功すれば、先発の二大メーカーに肉迫することも可能だ。辰雄は、ゆくゆく自分の後継者にするつもりの息子の直治にこの計画を任せた。だが、この夢のエンジンの実用化には難問が山積していた……。
先進の技術を競い合う自動車業界の熾烈な闘いを抉る傑作長編企業小説!》
清水一行『風の骨』角川文庫・1981年
《昭和二十五年、レッドパージで朝日新聞を馘になった若き新聞記者池島淳一は、二年後、大分県の豊後日日新聞記者として再起した。そして入社早々、大きなチャンスをつかんだ。地元の山村菅生村で、大がかりな日本共産党員逮捕の事件が起きたのだ。世に言う菅生事件である。
警察側の発表や大新聞の記事は不自然で、彼には納得できなかった。共産党を危険視する官憲が、スパイを潜入させ、事件をでっち上げた疑いが強いのだ。「真相をスクープして中央のジャーナリズムに復帰してやる!」 池島の胸で野心が大きく脹らんでいった。
昭和史上の事件を素材に、一新聞記者の生きざまを鮮烈に描いた傑作長編!》
矢野徹『海鷲』角川文庫・1978年
《“皇国の興廃この一戦にあり、各員一層奮励努力せよ…”昭和十六年十二月八日、旗艦・赤城のマストにこの信号旗が掲げられ、日米決戦の火ぶたが切って落とされた。
ゼロ戦・九九艦爆等、百八十三機の大編隊はエンジン全開で真珠湾へと向かう。その中で、無言で操縦悍を握る牧一飛曹。祖国愛に燃えるこの若き航空兵の胸に去来するのは何か?
そして、彼を待ち受ける宿命は?
二百万人という大量の戦死者を出した太平洋戦争を最後まで戦った若き航空兵を描き、戦争とは何か、祖国愛とは何かを問う感動の長編!》
矢野徹『442連隊戦闘団―進め!日系二世部隊』角川文庫・1979年
《第二次大戦の最中のこと、アメリカ軍の中に、日本人二世の志願兵ばかりで構成された部隊があった。その名は442歩兵連隊。彼らは日本人でありながらアメリカ軍として戦う宿命を負っていた。
が、彼らは勇敢だった。ヨーロッパでは最激戦地に派遣され、彼らが上げた武勲と流した血によって、日系アメリカ人の持つ責任感の素晴らしさを全世界に示したのだ!
著者がアメリカ442連隊の生き残り兵に現地取材し、“祖国愛とは何か? 戦争とは何か?”の問題を投げかける涙と感動の戦争ドキュメント!》
平井和正『狼の紋章』ハヤカワ文庫・1971年
《私立中学博徳学園の美人教師、青鹿晶子は、ある夜、一人の少年が三人の不良高校生にナイフで刺されるのを目撃した。彼の名は犬神明。危機に直面する女教師を救う大自然の精霊、不死身のウルフガイだった。》(「MARC」データベースより)
平井和正『狼の怨歌』ハヤカワ文庫・1972年
《苦悶でねじまがった顔が恐ろしい変貌をはじめた。口がねじれながら裂け、ふとい犬歯がみるまに伸びる。金色の獣毛が微速度撮影さながらに密生してきて、全身を覆っていく、――獣人現象だ。致死量の5倍にも相当する青酸カリが少年の腕に注射されたのだ。羽黒獰との闘いに斃れたはずの犬神明が生きていた。そして、ウルフガイの不死の秘密を手にしようとする不死鳥作戦が不気味な影をあらわしはじめる…。ドランケの魔手に落ちた青鹿晶子を救うため、犬神明、神明、虎4が凄絶な闘いを繰り広げるシリーズ第2作。》(「BOOK」データベースより)
平井和正『狼男だよ』ハヤカワ文庫・1972年
《おれの名は犬神明、一匹狼のルポ・ライターだ。これはたとえじゃない、おれは本当の狼、すなわち人狼なのだ!常人にはない特異な能力を持つおれは、月齢十五日、つまり満月が近づくにつれ、驚異の生命力と体力を発揮するのだ。そのおれが深夜のドライブ中、全身の血を抜かれた美女の死体を積んだ車に追突するという事件に巻き込まれてしまった。これは現代に甦った吸血鬼の仕業なのか? アダルト・ウルフガイシリーズ第一弾。》(「BOOK」データベースより)
開高健『もっと遠く!(上)』文春文庫・1983年
《アラスカを振り出しに北米大陸縦断のフィッシング大旅行。ヌシャガク河ではキング・サーモン釣りに陶酔し、オタワの運河では巨大な怪魚マスキーを仕留めて“奇跡の人”を演じる。》
開高健『もっと遠く!(下)』文春文庫・1983年
《アラスカを振り出しに北米大陸縦断のフィッシング大旅行。ヌシャガク河ではキング・サーモン釣りに陶酔し、オタワの運河では巨大な怪魚マスキーを仕留めて“奇跡の人”を演じる。》
開高健『もっと広く!(上)』文春文庫・1983年
《「もっと遠く!」につづいて、メキシコから南米最南端のフエゴ島まで南アメリカ大陸を縦断し、あわせて五万キロ、九カ月の旅が完結。立ち現れる森羅万象を凝視し語り尽くす文明論。》
開高健『もっと広く!(下)』文春文庫・1983年
《「もっと遠く!」につづいて、メキシコから南米最南端のフエゴ島まで南アメリカ大陸を縦断し、あわせて五万キロ、九カ月の旅が完結。立ち現れる森羅万象を凝視し語り尽くす文明論。》
桜井哲夫『占領下パリの思想家たち―収容所と亡命の時代』平凡社新書・2007年
《ナチス凶暴の時代、戦後に活躍する若き思想家たちは戦時下パリをいかに生き抜いたか、またニューヨークに亡命した知識人の活躍など、鋭い問題意識で描き出した渾身の20世紀精神史。 1939年、ドイツはポーランドに侵攻し、第二次大戦が始まった。
翌年パリは陥落し、ドイツ軍の占領下に置かれ、
ユダヤ人は迫害され、次々と収容所へ送られた。
一方、ニューヨークは亡命者たちを受け入れた。
サン=テグジュペリの『星の王子さま』はここで執筆され、
レヴィ=ストロースはヤーコブソンと出会った。
息づまる占領とレジスタンスの時代、若きサルトル、デリダ、
ボーヴォワール、コクトー、カミュたちはいかに生きたか?》
又吉直樹『火花』文藝春秋・2015年(芥川賞)
《お笑い芸人二人。奇想の天才である一方で人間味溢れる神谷、彼を師と慕う後輩徳永。笑いの真髄について議論しながら、それぞれの道を歩んでいる。神谷は徳永に「俺の伝記を書け」と命令した。彼らの人生はどう変転していくのか。人間存在の根本を見つめた真摯な筆致が感動を呼ぶ!「文學界」を史上初の大増刷に導いた話題作。》(「BOOK」データベースより)
野坂昭如『死の器』徳間文庫・1982年
《清水商会――死に水商会。臨終まぎわの老人を引き取り、家族にかわって最後の世話を行うという奇妙ななりわいに足を踏み入れた6人の男たち。それぞれの過去を抱えながら、東京郊外は武蔵野の面影がまだ残る、倒壊寸前のボロアパートで西北荘で、清水商会専用電話のか細いひびきをひたすら待つ日々――表題作『死の器』をはじめとして、人生の襞を活写して、ペーソスと哀楽を謳い上げる珠玉の作品集。》
収録作品=娼婦三代/辻占の宿/上海帰りのリル/エストリールの夏/チチキトク/死の器/待つ
栗本慎一郎『シルクロードの経済人類学―日本とキルギスを繋ぐ文化の謎』東京農業大学出版会・2007年
《日本文化の大きな基礎は、北のシルクロードからやってきた要素を基にして発展したものであるという、新しい視点で迫る。2006年からキルギス科学アカデミーとの協同によるアクベシムの発掘調査の第1次報告が収録されている。》(「BOOK」データベースより)
斎藤環『関係する女 所有する男』講談社現代新書・2009年
《男女の違いという大テーマに斎藤環が挑む!
男と女はどう違うのか?「性差」とは一体なんなのか?人気の精神科医が、社会にはびこるトンデモ仮説を排し、この大テーマをさまざまな角度から分析する。》
村松友視『男はみんなプロレスラー』集英社文庫・1984年
《プロレスは極彩色のガラスの破片をちりばめたミラー・ボール。光の当り方、見る角度によって驚くほどさまざまな変化を見せる。相手の腕をハンマーに決める。ロープに振る。反動でもどってくる。さあ、次の技は――その瞬間、最低三つぐらいのドラマは思い浮かべるはず。そう、まさに人生そのものなのです。プロレスを哲学にしてしまう男・ムラマツの一発必殺の凄味ただよう一冊。
解説・古舘伊知郎》
三遊亭圓生『圓生古典落語1』集英社文庫・1979年
《圓生古典落語1 十二席
居残り佐平次
佐々水政談
山埼屋
千両幟
死神
仙台高尾
庖丁
雁風呂
掛取り万歳
浮世床
三軒長屋
夢金
解説 関山和夫》
高将にぐん『放課後カタオモイ』ダリア文庫・2012年
《イケメンがアニメキャラに恋をした!?
「お前の描いた女の子が好きなんだ!」オタクで目立たない順に声をかけてきたのは、クラスで人気の丹羽くんだった! サッカー部で爽やかで皆に好かれてて……。自分とは正反対の人種だと壁を作っていた順だが、ごく自然に仲良くしてくれる丹羽くんに気持ちが解れていく。しかし、近付くほど、彼が好きなのは自分ではないと気付かされて――。もどかしい程まっすぐでじれったい恋♥
》
高木彬光『大東京四谷怪談』角川文庫・1979年
《凄じい怨念を残し殺されたため、現代に至ってもまだ数々の祟りをおよぼす「四谷怪談」のお岩。そのお岩の幽霊から深夜、「現代版四谷怪談」を書下ろす劇作家に「執筆を中止せよ」との電話が再三かかった。しかも、その言葉を裏付けるように、お岩の活人形を制作中の人形師が殺害された。
これを幕開けに四谷怪談そのままの形で起こる連続殺人に巻き込まれた陽気な未亡人と呼ばれる私――村田和子は、謎の名探偵墨野朧人と共に事件解決に乗り出した。
「黄金の鍵」「一、二、三――死」に続く墨野朧人シリーズ第三弾!》
つかこうへい『つか版・忠臣蔵』角川文庫・1985年
《赤穂藩の浪士47人は、君に忠、従容として死についたのであったか? 否である。断じて、否である。彼らが後世、あっぱれ〈忠臣四十七士〉と評価されたのは、宝井其角の尽力あってこそであった。そしてほかでもない、その其角を支えていたのは、まず近松門左衛門への烈しいライバル意識、もうひとつ、「泣き女」志乃への抑えきれない恋情であった。
「口惜しさと愛しさあれば、この世にできぬことなどありませぬ!」――ヘっぴり腰の浪人どもを、みごと腹かっさばかせた男・其角を通して描く、これぞ「忠臣蔵の真相」!》
北方謙三『さらば、荒野』角川文庫・1985年
《冬は海からやって来る。毎年、静かにそれを見ていたかった。
だが、友よ。人生を降りた者にも闘わねばならない時がある。
虚無と一瞬の激情を秘めて、ケンタッキー・バーボンに喉を灼く男。折り合いのつかない愛に身をよじる女――。
夜。霧雨。酒場。本格ハードボイルドの幕があく!
〈解説生江有二〉》
種村季弘『山師カリオストロの大冒険』中公文庫・1985年
《偽貴族、贋金造り、またある時は大革命の予言者……マリー・アントワネットの頸飾り事件を筆頭に、十八世紀末の全ヨーロッパを騙った稀代の詐欺師カリオストロ。真物と贋物が表裏をなすメーピウスの迷宮に、聖なる山師の見えざる肖像を追い求める知の大冒険》
眉村卓『天才はつくられる』角川文庫・1980年
《恐るべき天才少年少女のグループがあらわれた! 彼らはテレパシーを修得し、念力で自由に物を動かしテストでも抜群の成績を修めている。が、彼らは、何か巨大な悪の企みを抱いているらしい……。
ある日、ひょんなことから、ちょっぴり超能力を身につけた史郎にも、グループに入るように誘いがきた。そして、断わった史郎に、彼らは命を取ると脅しをかけてきたのだ。史郎は、友人の敬子とともに、天才グループと断固闘う決意を固めたが……。
スリルあふれる、学園SFサスペンスの傑作。「ぼくは呼ばない」を併録。》
収録作品=天才はつくられる/ぼくは呼ばない
眉村卓『出たとこまかせON AIR』角川文庫・1979年
《さあさあ皆さん始まりだよ!
ぶっつけ本番、出たとこまかせ!
ワルのり、気まぐれ、苦しまぎれ!
突飛で変てこりんで愉快なお話!
――そばつゆ甘いかしょっぱいか?
――過去は何色? そして未来は?
――金言、格言をウラから見れば?
SF的発想と、ユニークな知識が満載されたこの一冊で、あなたは楽しみながらインテリジェンスを磨くことができる。さあこの「出たとこまかせON AIR」に、ピタリとチャンネルを合わせてみましょう。》
梶山季之『非常階段』角川文庫・1979年
《銀座に、堂々とトラブル・コンサルタント(示談屋)の事務所を構え、いろんな揉め事処理にアイデアを貸している伊夫伎亮吉。がっぽり稼いで、快楽的な人生をおくる一匹狼だ。
某大手繊維会社の専務が腹工死した一件をヒタ隠しにして、その会社の内紛を未然に防いだのも彼の卓抜したアイデアだった。資金繰りに悩む一流宝石店から時価2億円のダイヤの秘密換金を依頼されたり、流行作家のご夫人運に、重税からのがれるための抜け道を伝授する。法律の盲点を衝く彼の仕事はおもしろいように大繁盛。ちょっぴり背徳的で飄々とした魅力のある伊夫伎亮吉大活躍!『夜の配当』の姉妹編。》
梶山季之『傷だらけの競走車』角川文庫・1983年
《自動車レースの中で、ラリーほど苛酷な競技はない。スピードを競うだけでなく、人間の限界を越える耐久力と高度な運転テクニックがなければ勝ち抜けない。しかも勝負は、自動車会社の売上げにそのまま影響するのだ。それだけに舞台裏では、さまざまな策謀がめぐらされる。
その日、タイガー自動車第四実験課長であり、〈ラリー男〉の渾名を侍つ古葉鋭二が感じていた不安は、最悪の形で現実となった。モンテ・カルロ・ラリーに参加した自社チームが、コース途中の山道で行方不明になったのだ。》
梶山季之『黒の試走車』角川文庫・1973年
《消費者をファンタジーの世界へ誘いこむ新型車は、現代の〈走る恋人〉だ。
――社運を賭けて開発したタイガー自動車の新型優秀車が、特急〈さくら〉と衝突、炎上! 「性能に疑問、走る凶器か?」とうるさく騒ぐ業界紙。しかも、この事故を調査中だった企画一課長が謎の転落死。ライバル会社の黒い影、仕組まれた罠か……。
恐るべき現代の企業戦争の恥部をえぐりだした梶山季之の最高傑作!》
オクタビオ・パス『孤独の迷宮―メキシコの文化と歴史』法政大学出版局・1982年
《メキシコとは何か。その特異な国民性の根源と本質を解き明かし,未来を模索し彷徨するメキシコ人の迷宮は全人類に共通すると説く詩人パスの鋭く現代に迫る文明論。》
ナタリー・サロート『プラネタリウム』新潮社・1961年
F・A・ハイエク、今西錦司『自然・人類・文明』NHKブックス・2014年
《壮大なスケール、卓抜な科学思想論!
二人の知の巨人が、20世紀を支配したダーウィン進化論を検討し、生物の進化から文明の展開までを問い直す。1978年に京都で行われた対談を復刊!》
ロバート・B・ライシュ『ロバート・ライシュ 格差と民主主義』東洋経済新報社・2014年
《その「怒り」を乗り越えろ!暴走する経済から「かけがえのないもの」を守るたった1つの方法とは―経済活動や民主主義が、どうして、どんな風に、普通の労働者には不公正なゲームに見えてしまうのかを説き、こういう事態に対して何がなされるべきで、何ができるのかについて全体像を示した。》(「BOOK」データベースより)
千野境子『なぜ独裁はなくならないのか―世界の動きと独裁者インタビュー』国土社・2013年
《カストロ、ノリエガ、オルテガ、イメルダ夫人との著者単独会見・インタビューで迫る独裁者たちの実像と、「アラブの春」に始まる独裁の崩壊と要因をさぐり、なぜ独裁はなくならないのか、なぜ民主主義の定着はむずかしいのかを問う。》
尾辻克彦『ライカ同盟』講談社・1994年
《尾辻克彦またの名を赤瀬川原平中古カメラ中毒の著者が描くオタク私小説
ぼくがこのウィルスに感染したのは、まだ三年ほど前のことだ。それまではふつう一般の人間だった。“買わないと治らない”中古カメラ病。安いレンズなどで治っているうちはいいが……。》
ちくま文庫版
アリストテレス『政治学』中公クラシックス・2009年
《プラトンに学び、アレクサンダー大王の師となり、古典ギリシアの学問を分類・整備・集大成した巨大な哲人の思想と「学」の根幹。後世に大きな影響を与えた政治思想上の古典中の古典。》
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