『正眼』は大牧広(1930 - )の第8句集。詩歌文学館賞、与謝蕪村賞、俳句四季特別賞受賞。
本書はその廉価版で、親本は2014年刊行。
大牧広は能村登四郎・林翔に師事。「港」創刊主宰。
末枯れて中央線に深眠り
酉の市善男善女そして風
あつあつの牡蠣フライゆゑ生き直す
うづくまる野良猫冬のホテル街
春の夜の大河ドラマはすぐ叫ぶ
苗札の指のかたちに汚れたる
落蝉のだんだん増えて斎場へ
極月の波にも失意あるらしく
おほかたの巣箱壊され遠昭和
花咲きし頃や夜毎のB29
錆びゐても鉄路は鉄路被災地・春
六月の低体温の若者達
大奥のさざめきに似て浅蜊汁
洗鯉一箸二箸小津映画
金魚鉢昭和のくびれ見せにけり
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
*****************************************************
John Dowland: Fantasia no. 7 (Aljaž Cvirn)
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。