2015年
深夜叢書社
『天來の獨樂』は文芸批評家・井口時男(1953 - )の第1句集。
解説:吉田文憲、室井光広。
軒下に素性あやしき神もゐて
月冴えざえと我を歩ます通夜の坂
濡れてなほ鐵やはらがず春の駅
金環蝕地に青すすき花あざみ
大橋脚空缶潰す生もあり
永山則夫の出生地は「網走市呼人番外地」だつた。
夏逝くや呼人といふ名の無人駅
赤き火箭(ひや)そびらに流れ冬の月
橋上に大寒の富士を見に行かん
春の野はつんつんとしてほうとして
フランシス・ベーコンの印象 二句 から
顔に洞あり洞に歯があり人語漏る
珠洲市宝立七夕キリコ祭
七夕の海暗ければ大篝火(おほかがり)
連作 枯野の白頭翁 八句 から
白頭翁枯枝で天を裂くこころ
銀河崩落寺山修司といふ嘘つき
ななかまど炎見しよりこの赤目
添い臥しのたましひ濡れて花に雨
井口時男を俳句に導きいれたのは高校教員時代に新卒で着任してきた同僚、光部美千代。「鷹」の俳人だった。
国語科教員だけでなく、その句会には男性教員が押し寄せたという。
《美人で気さくで屈託がなくて愛嬌があって、とにかく彼女は魅力的だったのである》
光部美千代は2012年5月、五十代の若さで病没。句集に『色無限』(朝日新聞社、2002年)、『流砂』(ふらんす堂、2013年)がある。
光部美千代の作品や第二句集刊行の経緯にについてはふらんす堂のブログ参照。
※本書は版元より寄贈を受けました。記して感謝します。
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