単発のBL俳句誌「庫内灯」(編集発行:佐々木紺、編集:久留島元、なかやまなな、正井、実駒、龍翔)から。
2015年9月刊、A5判、152ページ。
参加各人の10句作品+1句鑑賞文のほか、小説、イラスト等いろいろ.
石原ユキオによる長嶋有『春のお辞儀』句集評、関悦史・久留島元の対談「BL俳句って何でしょう?」、金原まさ子・佐々木紺の往復書簡、BLメール句会・BL句会実況中継、なかやまななの評論「BL抒情事情」などを掲載。
(なお130ページに拙句が引かれているのだが誤記があり《男の俺になんで抱きつく更衣》ではなく、正しくは《野郎が何で俺に抱きつく更衣》)
以下は出句者全員から1句ずつ抄出。必ずしも普段俳句をやっている人ばかりではないらしい。
月の客喀血いろに唇濡らし 藍川 蘭
じゃれあうて四の字固め草萌ゆる 天宮風牙
利き腕を握られてをり若葉風 石原ユキオ
ポテトチップス銜へさせたる磯遊び 岡田一実
生きるのに向かない性格だけど春 岡田朋之
さらわれて草芳しく光ふる 音叉
投げつける美男葛の無力さよ かかり真魚
髪切った主将のシュート落椿 北大路京介
アパートを引き払わせて花の夜 倉野いち
ブロンズの大腿筋に含羞草 久留島元
逸脱のたのしさでヨットには乗らう 佐々木紺
ゴッホ寝室にゐるゴーギャンや風信子 鈴木桃子
大人×少年駆ける天の川 千早
さかさまの国にも咲くか寒椿 土筆みを
寝息みな薔薇の真中に集まりぬ なかやまなな
少年は指からにする夏座敷 西
蓮ひらく夜にひとふりの刃を拭ふ ネムカケス
雲の峰死ぬ死ぬ詐欺と笑ふ友 平田有
銀河行くふたつの旅行鞄かな 藤幹子
口閉じて君に銀河をおくる夢 正井
同棲やビーチサンダル脱ぎ散らかし 松本てふこ
エチュードの響き渡りし五月かな 松本薬夏
“相方”と呼びあう夏のあったこと 実駒
したたりのおわりはじまりゆるみゆく 森川真澄
好きって何だよ鼻水チーンって咬む 山本たくや
春陰の窓辺や違うって言えよ 雪李
流線はたとえば君の泳ぐ形(なり) 蘭奢
親友といふポジションや青胡桃 龍翔
水澄めばほろびるもののほうへゆく ろん
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Gianluca Cascioli - Claude Debussy/ From: Images (Book II)
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