2015年
ふらんす堂
『冬青集』は矢島渚男(1935 - )の第9句集。2007年晩春以降の作を収録。
著者は石田波郷、加藤楸邨に師事。「梟」創刊主宰。
烈風のかたちをとどめ峰桜
宇宙論軒にさみだれ巡らせて
さみしさに寒星を嗅ぐ男かな
眠る山鯨の骨が崖に出て
9.14
ベッドに手錠で繋がれし鶴彬(あきら)の忌
雨やさし繁るに疲れたる木々に
みな燃えてしまふどんどに立ちつくす
福島原発禍
ただれたる表土を削り水温む
マチュピチュは遥かに霞むわが聖地
肺呼吸の祖
見るわれも四億年の肺魚も秋
花が咲く昆虫館の虫たちに
黙り込む諸仏諸菩薩著莪の花
読みさしに緑の蜘蛛が走りけり
干柿に珈琲も合ふ恙なし
断崖の地層にかかり飛花落花
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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Verdi - Requiem [Orchestre Choeur La Scala, Barenboim, 2013]
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