【十五句抄出】本多佑子句集『菊を焚く』

2015年
ゆいぽおと


　『菊を焚く』は本多佑子（1927 - ）の第1句集。序文：武藤紀子。

　本多佑子は大野林火、宇佐美魚目、武藤紀子に師事、「晨」「円座」「貝寄風」同人。



海風の旗のはためく鏡餅

神鏡に映る一樹や弓始

山道は山門へ入る春氷

また走るいたちに桃の花ざかり

桃畑に三州瓦焼くけむり

四五本の矢を束ねゐる夕ざくら

まろやかな山を左右に田を植ゑる

涼しさやいたるところに翁の目

子孝行と言はれし母の墓洗ふ

小豆干す都に近き渚かな

膝の上に衣たたみをり小鳥くる

大蘇鉄見てをり時雨待つごとく

仏殿に猿入れまじと白障子

旅にあり焚火に放り栄螺焼く

生捕りしなまづ盥に年の暮






※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。






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Dexter Gordon - It's You Or No One (1979, The Hague)