2015年
深夜叢書社
『花修』は曾根毅(1974 - )の第1句集。第4回芝不器男俳句新人賞受賞者。
もともと不器男賞受賞者は、受賞作を句集にしてもらえることになっていたが、第3回までで愛媛県文化振興財団が降りてしまった。今回は審査委員の一人でもある齋藤愼爾氏の深夜叢書社からの刊行。
著者は鈴木六林男に師事。「花曜」「光芒」を経て現在は「LOTUS」同人。
暴力の直後の柿を喰いけり
枯野よりラジオの女声届きけり
万緑や行方不明の帽子たち
神鏡に近づいてゆく大百足
手に残る二十世紀の冷たさよ
燃え残るプルトニウムと傘の骨
どの部屋も老人ばかり春の暮
般若とはふいに置かれし寒卵
獅子舞の口より見ゆる砂丘かな
落椿肉の限りを尽くしたる
春すでに百済観音垂れさがり
原発の湾に真向い卵飲む
原子まで遡りゆく立夏かな
祈りとは折れるに任せたる葦か
次の間に手負いの鶴の気配あり
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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Giacinto Scelsi : Anahit- Diego Tosi-Ensemble intercontemporain
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