2015年
書肆山田
この4月に刊行された四ッ谷龍編『冬野虹作品集成』は3分冊をひとつの函に収めている。
その中の第1巻が句集『雪予報』と、未刊第2句集『網目』となる(なおオリジナルの『雪予報』は1988年、沖積舎刊。337句を収録。序文:四ッ谷龍)。
白い島へ白いかやつり草と私 (以下『雪予報』)
招待客胡桃の中に消え真昼
逆光の水晶に画く肺のかたち
解剖室ではクレソンがのびてゐる
蓮ひらく音して景色変りけり
たくさんの鹿現はれて琵琶を弾く
夢のまた夢青みどろ大拍手
みがき砂は春の女神の体温なり (以下『網目』)
燃えおちる燐寸やさしき眼球となり
はるかより名を呼ばれけり源五郎
三人は二階からくる実朝忌
夏蝶のとどろいてゐる離宮かな
神鹿の硝子の目玉春の草
f(エフ)の音榠樝の庭を通りたる
椿より白く捨て子の置かれあり
※本書は編者より寄贈を受けました。記して感謝します。
*****************************************************
Gabriel Fauré - Ballade for Piano and Orchestra, Op.19
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。