2015年
ふらんす堂
『五情』は秦夕美(1938 - )の第16句集。
著者は「豈」所属。個人誌「GA」発行。
ひしめきて餌食む鶴や大落暉
うつかりと殺めうくわつに産み枯木
水餅のゆるりと人を拒みをり
冬麗の何もておほふ真珠湾
花烏賊のついとよぎれるごとき夢
まちがへて棺にはひる春蚊かな
永き日の紫斑のごとき影法師
さびしさに濃淡ありやあり櫻
雨粒に夏の匂ひや聖廃墟
日傘もて払ふ火の粉のありにけり
熱風裡黄泉の扉のすこしずれ
ぬめぬめと人のけはひや白牡丹
死神はいかな匂ひぞ豆の飯
あれは秋骨の形を崩しけり
銀漢の小石拾ひて老いぬるか
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
*****************************************************
森山 威男 Small Orchestra, PIT INN, 2012年6月30日, Forest Mode
コメントを投稿
コメントは記事の投稿者が承認してから表示されます。
アカウント情報
(名前は必須です。メールアドレスは公開されません。)
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。