2015年
金雀枝舎
『みどり書房』は森島裕雄(1948 - )の第1句集。序文は今井聖。
作者は「街」同人。句集は編年体で、家業であった書店が閉店に追い込まれ、営業マンに転身、それ以後までを追うドキュメントのような構成に、期せずしてなっている。
黄砂降る駅前本屋は我が砦
レジにゐて唐黍畠にゐる気分
鈴虫と請求書の束提げ来る
この街に暖簾が幾つ渡り鳥
初日受け太陽系の塵となる
シャッター閉づ冬満月に貫かれ
冬薔薇の棘太かりき閉店す
レジ台をぶち壊す刻冬の雁
レジ台に電動鋸の刃入りぬ寒
白板に「契約」の二字冬銀河
参千萬円回収命令師走風
束石の不陸が取れぬ梅雨晴間
水炊きを温めて居るレオパレス
梅雨の蝶地震の腸太かりき
鬼百合に脚長蜘蛛の足掛かる
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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コメント
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