この一ヶ月も不調続きで、一冊も読めない日が続いた。
装幀的に懐かしいのはかなり久しぶりの再読となる眉村卓のエッセイ集『出たとこまかせON AIR』角川文庫。表紙の版画は木村光佑。それと福武文庫の干刈あがた。
あの『夜のみだらな鳥』と並ぶドノソの傑作として名ばかり高かった『別荘』が訳出され、読めた(『夜のみだらな鳥』も遠からず復刊されるらしい)。
眉村卓『出たとこまかせON AIR』角川文庫・1979年
《さあさあ皆さん始まりだよ!
ぶっつけ本番、出たとこまかせ!
ワルのり、気まぐれ、苦しまぎれ!
突飛で変てこりんで愉快なお話!
――そばつゆ甘いかしょっぱいか?
――過去は何色? そして未来は?
――金言、格言をウラから見れば?
SF的発想と、ユニークな知識が満載されたこの一冊で、あなたは楽しみながらインテリジェンスを磨くことができる。さあこの「出たとこまかせON AIR」に、ピタリとチャンネルを合わせてみましょう。》
山城むつみ『小林秀雄とその戦争の時―『ドストエフスキイの文学』の空白』新潮社・2014年
《自ら従軍記者を志願してまで、あの「戦争の時」に深く食い入り、かつて、ドストエフスキーが触知せざるを得なかった「時代」への苦悶に、まざまざと感応した小林秀雄―。中原中也、保田與重郎、武田泰淳、等々の周到な「補助線」を引きながら、文学の徒として「書く」ことの切実な「実存」を精緻に析出させてゆく長編論考。》(「BOOK」データベースより)
ホセ・ドノソ『別荘』現代企画室・2014年
《とある小国の経済を牛耳るベントゥーラ一族の人びとが毎夏を過ごす辺境の別荘。ある日、大人たちが全員ピクニックに出かけ、別荘には33人のいとこたちだけが取り残された。日常の秩序が失われた小世界で、子どもたちの企みと別荘をめぐる一族の暗い歴史が交錯し、やがて常軌を逸した出来事が巻きおこる…。チリの巨匠ホセ・ドノソの、『夜のみだらな鳥』と並ぶ代表作にして、二転、三転する狂気をはらんだ世界が読む者を眩惑する怪作、待望の邦訳!!1973年チリ・クーデタに触発されたドノソが、類い希なる想像力を駆使し、偏執的とさえいえる緻密な構成で書き上げた、理屈抜きに面白い傑作。後続する作家や世界の批評家たちを今なお魅了しつづける、ラテンアメリカ文学の金字塔。》(「BOOK」データベースより)
『別荘』 ホセ・ドノソ著 評・松山 巖(評論家・作家) : 本よみうり堂 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
書評:別荘 [著]ホセ・ドノソ - 杉田敦(政治学者・法政大学教授) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
別荘 ホセ・ドノソ著 躍動するホラ話 余韻痛烈 :日本経済新聞
干刈あがた『ゆっくり東京女子マラソン』福武文庫・1986年
《Gパン姿で飛び回るハリキリママ4人が小学校のPTA委員に立候補。いじめ、先生との対立、離婚、嫁姑の確執と、解体する学校と家庭が孕む問題に悩み、傷つきながらも、あくまで明るく軽やかに駆けていくさまをユーモラスに描く話題作。》
収録作品=ゆっくり東京女子マラソン/月曜日の兄弟たち
田村さと子『南へ―わたしが出会ったラテンアメリカの詩人たち』六興出版・1986年
《この本の全編から、熱と光とひたむきさがひしひしと伝わってくる。彼女は歩く、立ちどまる、息を飲む。どの小説よりも生々と日本と違う土壌に立っている女性の姿がくっきりと現われる。
そこに生きる人々とともに笑い、涙を流し、絶望し、怒る。インディオに共振れし、パブロ・ネルーダを敬愛する彼女は左派右派入り乱れて政治的混乱の渦中のラテンアメリカで女流詩人ミストラルの姿を追って旅をする。
女が女であること。彼女はミストラルの姿を追いながら、その意味を考えつめる。ラテンアメリカの旅を通して、女流詩人ミストラルと今一人の女流詩人田村さと子が読者の前にくっきりと姿を見せる。その感性はフランコ政権末期に留学したスペインで、圧政下で苦しむ幾多の詩人だちとまたもや共振れする。
混乱と静謐。苦痛と愉楽。相反するものが同時にある〈南〉方的、あるいは〈ラテン〉的としか言いようのない世界。彼女はそこで鍛えられ、そこに息を飲んで立つ。怒りに震える。おそらく、これはベビーブーマーの世代の女性が表わした初めての本物の感性のドキュメントである。
中上健次》
ディミトリス・コッタス『一生に一度は泊まってみたい奇想天外ホテル』エクスナレッジ・2013年
《鳥の気分でツリーホテル、エスキモー気分で年越し、洞窟で古代にタイムスリップ、砂漠に浮かぶテント、森にそびえるバオバブ・ホテル、川に浮かぶガラクタホテル…。世界各国の面白いホテルを集めたビジュアルBOOK。》
宮下規久朗『裏側からみた美術史』日経プレミアシリーズ・2010年
《ルネサンスや印象派などメジャーなジャンル以外でも、美術史の中にはかなり刺激的で興味深いエピソードがあふれている。一風変わったトピックの中から炙り出される意外な逸話。凡人に嫉妬した天才、ヌードが取り締まられるとき…美術史の教科書には載っていない異色の掌編20話。カラー口絵つき。》(「BOOK」データベースより)
小林よしのり・中森明夫・宇野常寛・濱野智史『AKB48白熱論争』幻冬舎新書・2012年
《人が人を「推す」とはどういうことか?なぜ、今それをせずにはいられないのか?日本のエンタテインメント史上、特異な「総選挙」という娯楽・消費行動を通じて、すべてのメディアを席巻する存在となったAKB48。まさに大衆の願望がAKB48を生み出したと言えるのだ。あえてではなくマジでハマった4人の男性論客が、AKB48そのものの魅力を語り合い、現象を分析することで、日本人の巨大な無意識を読み解き、日本の公共性と未来を浮き彫りにした稀有な現代文明論。》(「BOOK」データベースより)
橋爪大三郎『世界は宗教で動いてる』光文社新書・2013年
《ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、ヒンドウー教、儒教、仏教は何が同じで何が違うのか?世界の主要な文明ごとに、社会と宗教の深いつながりをわかりやすく解説! 》(「BOOK」データベースより)
赤瀬川原平『優柔不断術』ちくま文庫・2005年
《何かものごとを始めようとする時、ああしようか、こうしようかと一つ一つ丁寧に考えていると「ぐず」だと言われる。いきなり「こうだ!」と決めると「男らしい」と言われたりする。本当にそうなのか?決断こそが素晴らしいのか?優柔不断でいいじゃないか!優柔不断万歳。》(「BOOK」データベースより)
松本清張『対談集 発想の原点』双葉文庫・2006年
《名著復活!!近代文学史に偉大な足跡を残し、まさに巨匠と呼ぶにふさわしい松本清張氏。その広範な領域にわたる著作の“発想の原点”を佐野洋・五木寛之・井上ひさし・筒井康隆各氏が対談によって探り、明らかにしようとする画期的な試み。現在も活躍する各氏の“発想の原点”にも迫る、まさに名著。》(「BOOK」データベースより)
山口果林『安部公房とわたし』講談社・2013年
《その作家は、夫人と別居して女優との生活を選んだ。没後20年、初めて明かされる文豪の「愛と死」。》(「BOOK」データベースより)
荒俣宏『風水先生―地相占術の驚異』集英社文庫・1994年
《古代中国から連綿と今に伝えられた、地相によって吉凶を占う風水学。それが最新のランドスケープ学としてあらためて見直されている。自ら風水先生を名乗る著者が、長年の研究の成果をここに公開。風水とは何か。風水の最前線香港のルポ゚。さらに沖縄、奈良、京都と風水探査は日本全国に及ぶ。「週刊プレイボーイ」好評連載待望の文章化!》
坂野潤治『未完の明治維新』ちくま新書・2007年
《明治維新は尊王攘夷と佐幕開国の対立が一転して尊王開国になり、大政奉還の後に王政復古と討幕がやってくるという、激しく揺れ動いた革命だった。そのために維新が成就した後、大久保利通の殖産興業による富国、西郷隆盛の強兵を用いた外征、木戸孝允の憲法政治への移行、板垣退助の民撰議院の設立の四つの目標がせめぎあい、極度に不安定な国家運営を迫られることになった。様々な史料を新しい視点で読みとき、「武士の革命」の意外な実像を描き出す。》(「BOOK」データベースより)
鮎川哲也『太鼓叩きはなぜ笑う』徳間文庫・1982年
《雨やどりに飛び込んだデパートで、カミソリ魔の濡れ衣を着せられたばかりか、果ては殺人容疑者にされた男。彼のアリバイ探しに登場するのは、ご存知、要領が悪い上にぼんくら探偵を自称する一匹狼の私立探偵、行きつけの酒場『三番館』のバーテン氏のオカルトもどきの“名推理”に補けられ、次々と難事件を解決してゆく“三番館シリーズ”第1作。日本有数のトリック・メーカーといわれる著者の代表的連作集。》
収録作品=春の驟雨/新ファントム・レディ/白い手黒い手/太鼓叩きはなぜ笑う
大藪春彦『みな殺しの歌』徳間文庫・1981年
《凶銃ワルサーP38――かつてヒットラーの懐刀といわれたケストラーの愛用銃で、無数のユダヤ人の血を吸ってきた。それを手にした日から衣川恭介の人生は変り、復讐の狂鬼と化した。
目的は兄を虐殺した連中をみな殺しにすることにある。最初の犠牲は品川精化社長、苦悶のかぎりの果てに乱射されるワルサーP38。が、まだ復讐は始まったばかりなのだ。凄惨な青春を描く代表的大藪作品。》
福本和也『霧の翼』徳間文庫・1982年
《男鹿半島の荒磯に若い男の溺死体が漂着した同じ日、もう一つの事件があった。単葉の小型機が宮古市の沖合いに突入してきたのだ。パイロットの武田康彦は事前に脱出し、救助されたが、武田の供述には濃い疑惑がもたれた。
S新聞の大首根喜一も疑惑を抱いた1人たった。事故機引き揚げに立ち合った彼が目撃したものは、もう1人の乗員がいたことを証明する数々の痕跡だった。》
鵜飼哲『応答する力―来るべき言葉たちへ』青土社・2003年
《新しい時代のための新しい思想と芸術の可能性をきりひらくために、デリダの脱構築、ジュネやゴダールのパレスチナへの越境によって「ヨーロッパ」のリミットに触れ、「在日」と呼ばれる人びとの詩・散文や、“他者”との出会いから言葉を紡ぐ「日本人」たちのなかに、いまだ名指しえぬ列島をさぐりあてる。》(「BOOK」データベースより)
サタミシュウ『彼女はいいなり』角川文庫・2012年
《童貞高校生・美樹は恋人・苑子との初体験への期待とともに夏を迎えた。だがある夜、苑子が後輩にフェラチオしているのを目の当たりにしてしまう。傷つく美樹の前に現れたのが美術の志保先生。先生は美樹にすべてを告白させると、ついには美樹を犯してくれる。その後は先生のいいなりに、あらゆるセックスを体験する美樹。しかしやがて美樹の頭の中に、ある疑問が大きく広がっていく…。大人気シリーズの第6弾。》(「BOOK」データベースより)
橋本治『大江戸歌舞伎はこんなもの』ちくま文庫・2006年
《著者が30年間惚れ続けている大江戸歌舞伎。誰も見たことのない100年以上前の歌舞伎とはどんなものだったのか?歌舞伎の定式、専門用語とは?“時代”と“世話”とは?顔見世狂言とは?などなど、江戸の歌舞伎の構造を徹底解説。人気狂言『兵根元曽我』はなぜ何ヶ月も何ヶ月もロングランしたのか??粋でイナセでスタイリッシュな江戸歌舞伎の世界へようこそ。》(「BOOK」データベースより)
エドガア・アラン・ポオ『アッシャア家の崩壊』角川文庫・1951年
《憂愁と恐怖と怪奇な詩的幻想にあふれるポオの作品は、すでに1世紀近くを経た今日もなお新鮮な魅力をもってユニークな光輝を放っている。代表的傑作短編集。「アッシャア家の崩壊」「しめしあわせ」「ペスト王」「ハンス・プファールの無類の冒険」「影」「沈黙」「ウィリアム・ウィルスン」「鐘塔の悪魔」「群集の人」を収める。》
収録作品=壜の中から出た手記/しめしあわせ/ペスト王/ハンス・プファールの無類の冒険/影/沈黙/ウィリアム・ウィルスン/アッシャア家の崩壊/鐘塔の悪魔/群集の人
椎名誠『ごっくん青空』文藝春秋・2011年
《そこにBEERがあるからだ。のんで倒れて白い雲。好評!風まかせ赤マントシリーズ第22弾。》(「BOOK」データベースより)
文春文庫版
佐藤亜紀『小説のタクティクス』筑摩書房・2014年
《「固有の顔」をめぐる考察が、スリリングな結末へと導かれる。『小説のストラテジー』と対を成す、読む/書くための指南書。》(「BOOK」データベースより)
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