2014年
風の花冠文庫
深代響(1955 - )は「國大俳句」「雲母」「未定」を経て現在「鬣」所属。『俳句・イン・ドローイング』(ふらんす堂、1988年)に参加(当時の筆名は「三浦敏郎」)。
その後中断期を挟んで2001年から句作再開。
この『雨のバルコン』が第1句集にあたるらしく、前半に再開後の多行形式句(四行句)、後半に14歳から『俳句・イン・ドローイング』までの時期の一行句を収めている。
白い野の
白い影踏み
冬の旅
*
地平より
柘榴は
神を
分光するか
*
寂寞と
不在の
独楽が
渡るなり
*
雨傘の
血液
サラエボまでの
距離
*
彗星を
招く
百葉箱の
晩年
*
網膜の
ひるがほに
海
突き刺さる
*
消える犬
過去に
抗ふ
あまたの触手
*
湖を
見下ろす
石の白さかな
*
狂ふ海辺の
空前の
濤の逆鱗
*
白い
ひかりの
針突き刺さる
しきしまや
*
沈む木よ
深潮なす
星空よ
*
冬の港の鳥の輪郭揺れて発つ
海上に火を噴く錐が立ちつくす
空蝉銀河王妃土方巽である
先頭の僧侶振り向き皆ふりむく
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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Mozart Great Mass in C minor K 427
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