2014年
文學の森
吉村毬子(1962 - )の第一句集『手毬唄』が出た。
吉村は1990年、池袋西武コミュティカレッジ「現代俳句教室」で中村苑子に師事。1999年「未定」同人(2009年退会
)を経て2004年「LOTUS」創刊同人。
句集の栞は安井浩司、志賀康、豊口陽子、福田葉子。
金襴緞子解くやうに河からあがる
富士の雨秋聲のまま降りてゆく
水底のものらに抱かれ流し雛
睡蓮のしづかに白き志
纏足の少年羊歯へ血を零す
毬つけば男しづかに倒れけり
毬の中で土の嗚咽を聴いてゐた
石の中蝶の摩擦の鳴りやまず
対岸の蟲の昏さと遊びけり
山巓の夏至の木馬と揺れにけり
父に紋あり母に枝あり蓮の飯
父の忌は血を咽むやうに水を飲む
家に棲む真水は母を繰り返す
赤ん坊が降つてきさうな首夏の階段
水鳥の和音に還る手毬唄
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
*****************************************************
Jonathan Harvey String Quartet no. 2
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。