2014年
ウエップ
柳生正名(1959 - )待望の第1句集。
夏から始まる四季順配列の350句。
《言葉の実在性や自立性を、現実のなかからたぐり寄せる柳生の想像力は、一句が登場するたびに意味内容を弾力的に動かしてゆくようだ。それはくるくると方向を変えながら交差し、変化し、すれ違う透明な錯綜体となる。読者は、そこを自由に楽しまれたらよろしかろう》(安西篤「跋 透明な錯綜体としての諷喩―柳生正名句集『風媒』に寄せて―」)
まんばうの正面薄き光秀忌
鎌倉や揚羽の映るサングラス
玉虫がきらきら溺れ水の皺
神棚に階段のある冷奴
打ち払ふ金蠅ときに海のいろ
男郎花近江で硝子すつと切る
瓜坊来て障子を食べる籠り寺
切手より舌の大きく憂国忌
靖国神社遊就館
冬菫人間魚雷に窓なけれ
鬼房ゐて海猫来て東北鉈の冷え
ランボオといふ馬に賭け懐手
人形の黙つて縫はれ室苺
臘梅や阿修羅に腋の六つほど
初旅や海星乾ぶを火にくべて
蛍烏賊醤(ひしお)に入りてなほ灯る
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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Claudia Brücken - Thank You
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