2014年
沖積舎
安井浩司『宇宙開』は、『汝と我』から始まる一連の「句篇」(『汝と我』『四大にあらず』『句篇』『山毛欅林と創造』『空なる芭蕉』)の最終巻という位置づけの句集。
本文243ページの5句組みなので、収録句は今回も1,000句以上。
標題「宇宙開」は、「切れ」を「開け」につなげた志賀康の評論『山羊の虹』による。
坐り空海そばに体操する蟹よ
十字軍と交叉してかの乳母車
往く荒野腹中の子の指示のまま
恋の少年羊の生皮被(き)る罰を
世界終末予言日過ぎても夏の雲
天人の食にみな消え山ぶどう
千日草病(やまい)はひとを癒すらん
砂底へ突かるひらめの基督や
かのチリへ津波を返さん熊野崖
沖へロープを引きゆく死刑執行魚
野に交みおり人面の蛇二匹
春のくれ柱頭人(びと)を忘れずに
山人を揺すれば原体猿(ましら)出て
師と少年宇宙の火事を仰ぎつつ
海蛇も昆布も貽(い)貝も浴槽に
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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Karlheinz Stockhausen: Michaels Reise um die Erde (Donnerstag aus Licht, II)
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