「儒艮」(編集発行:久保純夫)vol.6(2014年5月)から。
松下カロの評論「カンディンスキーの居る言葉――関悦史へのアプローチ」掲載。
拙句集『六十億本の回転する曲がつた棒』の後記から、作風の見かけ上のばらばらさとその裏にある統合性について触れた部分を引き、カンディンスキーの《幾何学上の点は、眼に見えぬ存在である。だがこのゼロには『人間的な』各種の性質が潜んでいる。それは言葉の一種であり、しかも沈黙を意味している。》(『点・線・面』)と照らし合わせ、介護句から言語遊戯句までの関係をトータルに把握しようとする力作。
蛾の目して青く光りぬ窓秋氏 久保純夫(「ルネッサンスの風―夏―」)
夕ぐれはあまた翔び立ちなめくじら
少年が少女になりしラムネ飲む
竜の玉たしかにそこに六林男の眼 妹尾 健
万華鏡三井寺に蛇出て来たよ 藤川游子
どこまでが母どこからが蝸牛 松下カロ
筍や雨の立入禁止地区 曾根 毅
紙飛行機いつも不時着冬草に 岡田由季
逃水に最期の釘を取りに行く 木村オサム
座布団や角を揃えて仕舞いたる 久保純夫(「四照花亭日乗 Ⅱ」)
菱餅の無限につづく色かたち 原 知子
猪を裂くガレージに子を遊ばせて 杉浦圭祐
どの出口たどるも夜の桜かな 小林かんな
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Arnold Schönberg-Wassily Kandinsky: Music and Art Get One
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