2014年
霧工房
田吉明『幻燈山脈』は一句から数句(多くは二、三句)をひとまとめにして「組曲」とし、それぞれに章題を付した作品集で、句集というよりは五七五の緩やかな連続による抒情詩集といった趣き。前作品集『錬金都市』(2013年)と同じ構成法。田吉明は国語国文学者・川端善明の筆名。『楕円律』同人。
白き鳥墜つ わたしのなかの無人島
むらぎもからとりだして置く悲の銀器
大聖堂の無人の冬の影の高さ
葱噛めば三日月を噛む音がする
あぢさゐに鼓を隠し夜ごと打つ
泣くのはあなた 豆のスープが冷めてゐる
夕日から無数の手が出て呼んでゐる
二度ふりむけば見えない寺になつてゐる
坂の町に住むなら人よ寝るなかれ
力の尽きた神殿のやうに秋が逝く
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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Einstürzende Neubauten - Stella Maris (1996)
コメント
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