2014年
七月堂
栃本泰雄氏から歌集『レギオン』が届いた。
短歌98首、俳句2句の100作品を収録。
聖書や象徴派詩人のモチーフが変わらず多い。
高熱のわが額(ぬか)に触れひたひたと水の上(へ)をゆくイエスの蹠(あうら)
接骨木(にはとこ)の咲くその横に案内図「攝津接骨院はこの奥」
骨のあるところを見せて山笑ふ
夜桜にひろき茣蓙ひろげたるきみ、たつた一人にして軍団(レギオン)
退屈を描ききつたる絵日記に「けふ、兜虫が兜を脱いだ」
音のなき爆発映る愁思かな 関悦史
胸像(トルソー)の見えざる腕がスイッチへ伸び聴こえざる爆発映す
孤立死といへども二階ああ五階あら十階に にぎはふ枯木
アクワチントの空寒くして独身(ひとりみ)のユイスマンスが銀のしはぶき
見てのとおり拙句も引用されているのだが、申し訳ないことに「ガニメデ」53号用に載ったこの句は誤字があり、それがそのまま引かれてしまった。「愁思」は「秋思」でなければ季語にならない。
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Iannis Xenakis - Okho
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