「彼方からの手紙」vol.7（2013年9月）

　山田露結と宮本佳世乃の二人がコンビニのコピー機で配信していた俳句通信「彼方からの手紙」はこのvol.7（2013年9月）から突如、紙冊子になった。

　「MyISBN」のオンデマンドという形で、amazonで普通の本と同じように注文できる。872円（通常配送無料）。

　今号のゲストは四ッ谷龍。
　山田露結、宮本佳世乃それぞれが150句を発表している。並の句集よりも収録句数は多い。


　　　大國魂神社
祭の朝長いトマトをてのひらに　　　四ッ谷龍（「少女のような少年　第一部　いわきへ（第四回）」から）

　　　薄磯から金倉坂
波消しブロック新(さら)が積まれぬ人しゃがむ

　　　同
手の摘草神輿の後を追いかける

　　　アクアマリンふくしま
ムール貝殻ごと刺さるドライカレー


人居らぬプールの水の鋭さよ　　　同（「少女のような少年　第二部　国分寺から小金井まで」から）

くらぼね坂少女のような少年来る

雨後のパネル「何でも！便利屋！粗大ゴミ！」


リポビタンＤ被災の人からもらってしまう　　　同（「少女のような少年　第三部　いわきへ（第五回）」から）

夏草青草「波はあそこから入ってきた」

蟻地獄も津波の話聞いています



包丁に茄子を手なづけ夢の妻　　　山田露結（「アナザー・サイド」から）

扇風機抱く少年を抱くように

汗かいてみんな太つてゐて自由

　　　七月十七日　ジョン・コルトレーン忌
閑さやコルトレーン忌の蝉の声

冷し中華の具の細切りや旅の途中

茸から暗き部分の立ち上がる



手は影を作りたがつて夏めきぬ　　　宮本佳世乃（「その他は」）

つぎの木へ玉虫消えてゆく昼間

水澄んであとはバドミントンでいい

手のひらにおさまりさうな蜜柑山

風吹いて雪のきのふが光りだす

できたての茅の輪くぐれば後ろに国






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John Coltrane Live 1960 1961 1965

Comments

[投稿情報: やのたかこ]

アクアマリンふくしま
ムール貝殻ごと刺さるドライカレー

の句が衝撃。
和食では殻が米と一緒に料理されて皿に盛られる事はあまりないように思います。
ですからこの調理法を初めて目にした時違和感を覚えました。
今は慣れてしまいましたが。
ふくしまの文字があると、申し訳ないのですがどうしても原発事故を思い出し
海に溶けだしている放射能の事を思ってしまいます。

[投稿情報: 関悦史]

やのたかこ様
これは私も現物見ましたが、まさにこんな感じでした。
福島は隣の県で海流がそちらから下りて来るので、私の住んでいる辺りでも多分避けられていないと思います。