「逸」第30号(2012年9月、花森こま個人誌)から。
この雑誌を拠点に最近出た句集、石原明『ハイド氏の庭』の特集が組まれている。執筆者は鑑賞文が榮猿丸、倉田良成、澤田和也、楢崎進弘。石原明の句を元にしたショートショートが石原ユキオ(これは先頃解散したユニット「guca」のブログから転載)。
裸の子裸の父と興じおり 和田悟朗(招待作品)
これは「ハナモリコマハナモリ」を句の頭に据えた連作10句のうちの1句。
石原明の「シリウス」300句も掲載されている。
冬晴や「第三の男」は地下に死す 石原明
それなりの絶滅経しや蟾蜍
たましひに甲殻ありし日花明り
花吹雪象から象へ渡りけり
跳び箱の上は菜の花畑では
野遊や二十面相の狂気もて
「痴漢に注意」の看板だらけ若菜摘む
イエス来たらば鶯餅を供すべし
天牛に古武士のごとき深手あり
薫風や鰻屋のある旧市街
聖五月フェイスブックに美男あり
基本的には人間探求派の裔のような「男の世界」を詠む作家の雰囲気が濃いのだが、小動物、奇想、滑稽の句に安楽さと華やぎを兼ね備えた句が多く、独自の味。
ドアは男であった廊下は羊雲 佐藤榮市
筍は天地創造するつもり 山口可久實
手をつながねばお花畑は消えますよ 石原ユキオ
くちなわに吐き戻されしねずみかな
蟹座の下に機械となりて泣く友よ 木戸葉三
湯殿にて脳天をあの世から撫でられている
冬めくやからだのなかをゆく戦艦 花森こま
八月の人類といふ淫らかな
石原ユキオはツイッターでは馴染みなのだが、句を見たことがほとんどなかった。この「ねずみ」をはじめとして“グロ可愛い”とでもいうべき境地。
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Talking Heads - Burning down the house
この雑誌を拠点に最近出た句集、石原明『ハイド氏の庭』の特集が組まれている。執筆者は鑑賞文が榮猿丸、倉田良成、澤田和也、楢崎進弘。石原明の句を元にしたショートショートが石原ユキオ(これは先頃解散したユニット「guca」のブログから転載)。
裸の子裸の父と興じおり 和田悟朗(招待作品)
これは「ハナモリコマハナモリ」を句の頭に据えた連作10句のうちの1句。
石原明の「シリウス」300句も掲載されている。
冬晴や「第三の男」は地下に死す 石原明
それなりの絶滅経しや蟾蜍
たましひに甲殻ありし日花明り
花吹雪象から象へ渡りけり
跳び箱の上は菜の花畑では
野遊や二十面相の狂気もて
「痴漢に注意」の看板だらけ若菜摘む
イエス来たらば鶯餅を供すべし
天牛に古武士のごとき深手あり
薫風や鰻屋のある旧市街
聖五月フェイスブックに美男あり
基本的には人間探求派の裔のような「男の世界」を詠む作家の雰囲気が濃いのだが、小動物、奇想、滑稽の句に安楽さと華やぎを兼ね備えた句が多く、独自の味。
ドアは男であった廊下は羊雲 佐藤榮市
筍は天地創造するつもり 山口可久實
手をつながねばお花畑は消えますよ 石原ユキオ
くちなわに吐き戻されしねずみかな
蟹座の下に機械となりて泣く友よ 木戸葉三
湯殿にて脳天をあの世から撫でられている
冬めくやからだのなかをゆく戦艦 花森こま
八月の人類といふ淫らかな
石原ユキオはツイッターでは馴染みなのだが、句を見たことがほとんどなかった。この「ねずみ」をはじめとして“グロ可愛い”とでもいうべき境地。
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Talking Heads - Burning down the house
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