「小熊座」2012年9月号

「小熊座」（高野ムツオ発行）2012年9月号から。

　仙台文学館での俳句の集い「震災詠を考える～被災地からの発信」のレポート記事や、長谷川照子による「火の鳥となって／大森知子句集『春の虹』を読む」も掲載されている。大森知子は「小熊座」同人。東日本大震災の津波で亡くなった。


原子炉も人も翼下に夏の鳶　　　高野ムツオ

星雲も郡上踊りも渦をなし

　他に《草木国土悉皆成仏できず夏》《音もなくセシウムの降る緑夜かな》等、震災詠が依然少なくない。
　高野ムツオに関しては「鬣」2012年8月号の俳句時評欄に外山一機が「高野ムツオの現在」というのを書いていて、震災後「俳句が大きく変わった」（片山由美子「俳句」2012年4月号）高野ムツオに、先師佐藤鬼房の句業を改めて己のものとしていく過程を見出している。



木も骨もおなじ音する青やませ　　　佐々木とみ子

作文集つなみ読んだか浮いて来い　　　さがあとり

　「浮いて来い」は浮人形の異称で夏の季語。水に浮かべて遊ぶものだが、この句では津波の惨禍のイメージが覆いかぶさり、玩具が不意に異化される。


抗えるひかりとなりて蛇泳ぐ　　　鯉沼桂子

蚊のごとくうるさい弟子になつてやる　　　津高里永子

　津高さん、何があったのだろう？


殴られる身になつてみよ西瓜割り　　　松岡百恵





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Peter Gabriel - Shock the Monkey