今年の4月、これも震災から間もない頃にこの「塵風」からの依頼で、松山巌氏のインタビューを取りに行った。雑誌が出るまでに8ヶ月かかったことになるが、編集後記でも言われているとおり、内容的にはさして古びていないことと思う。
震災直後であることもあり、こちらも『群衆』『うわさの遠近法』などの力作を読み返して臨んだが、そればかりでなく、都市と文学を重ねて論じる松山さんの思考法についてもお聞きしている。
会う直前まで、どうも風邪気味らしいなどと聞いていたのだが、実際には非常に元気でよく話してくださった。
ウィキペディアの「松山巌」の項目にずいぶん間違いがあるらしいので、来歴等についてもこまごまとお聞きし、訂正を求める際の典拠にしようかと思っていたのだが、紙数の都合で飛んでしまったのが残念。
私の句集『六十億本の回転する曲がつた棒』の栞文を松山さんが書いてくださっているが、それはこのときのご縁による。俳句では渡邊白泉がお好きとのこと。
目次と申込先はこちらに載っている。
ギロチンに大根切られ劇はじまる 唖々砂
大川に人魚の揚る暑さかな 伊豫
立秋の絵には手紙を読む女 笠井亞子
めそめそと味噌カツを喰う梅雨晴れ間 かまちん
生御魂嗤はばおほき穴となり 小林苑を
莫大小(メリヤス)にくるまれて海おもふなり 西原天気
白桃に白桃による傷ひとつ 斉田 仁
阿弥陀経おぼろマカロニ菠薐荘 佐山哲郎
東北の脊梁からの積乱雲 赤土
少年に桃浮く水の昏さかな 月犬
十薬に占領されし父母の墓 貞華
花の冷ピカソの絵皿掛け直す 東人
龍の骨からんでおりぬ転轍機 長谷川裕
嘴をつけてもみたき寒さかな 振り子
はつなつや脳のこのあたりが群青 三島ゆかり
夕かなかな鏡の奥のひとりひとり 皆川 燈
瓜咲いて猫の帰つてくる時間 村田 篠
先日、西原天気さんの句集『けむり』出版記念会が後楽園涵徳亭であり、そこで上記の作者のかなりの人に会えた。
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林海象監督『夢みるように眠りたい』CM
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