2011年
私家版
2009年に創刊され、4号までが刊行された短歌同人誌「町」は、この『歌集 町』の刊行をもって解散となるとのこと。
同人は瀬戸夏子、服部真理子、平岡直子、望月裕二郎、土岐友浩、吉岡太朗。
『歌集 町』はこの6人の作者の歌から成っているはずだが、各歌には作者名が記されておらず、どれが誰の作品かはわからない。
抄出はしなかったが、奇怪な体裁の長歌(?)も含む。
洗濯機かついで歩くコンセントが地面をこする音ききながら
真鍮の橋だねそれは きみの見た夢の話にほほ笑んでいる
夜までをどうしようかと看板の〈村田機械〉にとまるカササギ
見てしまう皇太子妃に似た人がかすかに口を開いて眠る
うすき季節よ夏の星座と交わった体位もひとつ滅びる頃の
オレンジとグレープフルーツとわた・くしとマンハッタンとアフガニスタン
今は一つの光となって「先生にいい子って思われたいんでしょ」
雨傘に性別があり女の子はいいよ最後には燃やすのだから
そういえばこれくらいの小さな地球儀をあなたはいつか怖いと言った
直角に折れたり幅を狭めたり坂になったり不埒な道だ
蛇口が比喩になってひさしい
火事ですか救急ですか
ひとり暮らしです
窓のおおきな
顔のなかに階段があり(レシートが一枚)燃えて傾いている
袋からトレイの上にすこしだけ広げて食べるフライドポテト
東京とあなたが言って東京のあらゆる本は薄目を開けた
*****************************************************
Kraftwerk - Musique Non Stop
コメントを投稿
コメントは記事の投稿者が承認してから表示されます。
アカウント情報
(名前は必須です。メールアドレスは公開されません。)
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。